第5話 神社めぐり
世の中にはいきなり神社廻りを始める人がいる。
神に片っ端から繋ぎをつければ運が良くなるとでも思うらしい。
知り合いに何人か、これをやった人間がいる。いずれも二年経たない内に発狂していると言えば、その危険性が分かって貰えるだろうか。
これは実は不思議ではない。
神の中にはいわゆる祟り神の類がいる。元から凶暴な禍つ神もいれば、信者を失うことで飢えて狂った神もいる。寂れた神社、あるいは人里離れた神社をうかつに訪れることは、ヤクザの事務所を訪ねるぐらいには危険なのだ。
きちんと神が居る神社でも、神社の敷地内は聖域だが、その周囲には悪いものがたむろしていることが多い。参拝に来た客に憑いてきて、聖域に入れずに弾かれた類の悪霊だ。
コンビニの外でウンコ座りをしてたむろしているヤンキーを想像して欲しい。
四国八十八箇所お遍路も神社廻りの一種だが、お遍路の団体にはきちんと先達がついていることをご存じだろうか?
先達は担当するお遍路信者の面倒を見て先導し、一日の参拝が終われば憑かれてしまった信者の厄落としをする。だからお遍路は安全に神社廻りができるという仕組みだ。
逆に言えば、先達を頼まないで行うお遍路さんの内、強い信仰という守護の無い者は危険なのだ。
これから個人で神社廻りを始める者はきちんと守護神をつけてから行う必要があることを覚えておかねばならない。
闇の世界の扱いは決して人に優しいものではない。
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