11 優衣のコーディネート
なし崩し的に始まった、三人の先輩たちによるコーディネート合戦。まずは言い出しっぺの祥太先輩から始まった。
「これ……ちょっとブリブリしすぎてません?」
あたしが着せられたのは、肩の開いたデザインのピンクのトップス。胸と袖にリボンがついている。下は黒いミニのプリーツスカート。露出も多いし、何とも落ち着かない。
「優衣ちゃんは量産型合わないかぁ……。髪型もショートだしね」
どうやらあたしが着ているのは、そういうジャンルの服らしい。祥太先輩はぐぬぬ、と息を漏らした。
「どっちかと言うと地雷系じゃないか?」
瑠可先輩がそう言うので、今度はベルトや十字架のついた黒いワンピースを着てみたのだが、これまた合わない。
「あたし、これも違う気がします」
「そうか? 俺は好きだけど」
「それは単に瑠可の趣味だと思いますが……。優衣さんはもっと清楚な方がいいですよ」
快人先輩に手渡されたのは、薄いグリーンのシャツワンピース。シルエットはふんわりとしていて、これも何かあたしっぽくない。
「うーん、意外と難しいですね」
「快人もダメかぁ。優衣ちゃんっぽいのって一体どんなんだろうね? とりあえずあっちの店にも行く?」
祥太先輩に誘導されたのは、シンプルな服ばかりを扱う量販店だった。ここの服ならあたしも何着か持っている。
「自分で選んでもいいですか?」
三人とも失敗したのだ、もうマネキン本人が選ぶしかない。あたしは黒いショートパンツと真っ白なTシャツを着て試着室から出た。
「あー、これが一番ぴったりかも」
瑠可先輩が、頬をポリポリかきながら言った。
「活動的ですし、優衣さんのイメージに最も近いですね」
「おれたち、全員負けってこと!?」
「そうなりますね」
あたしが胸をはると、祥太先輩はしょぼくれた表情をした。そうなのだ。結局あたしは、こういうスポーティーな服装に落ち着くのだ。
「折角なんで、買ってきますね」
ここの店は安いので、お小遣いで十分まかなえる範囲だ。悔しがる先輩たちを気にしないようにして、あたしはレジに向かった。時間を見ると、もうすっかりお昼どきだ。
「お腹すきましたねぇ。ファミレスでも行きますか?」
快人先輩の言葉に全員が乗り、今度はお昼ごはんにすることになった。
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