第3章
第30話 振り返り配信前編
「Hello!みんな。ルートですー」
:Hello!
:ハロー
:ハロー
:ハロ~
大会が終わり、一日が経った。SNSや配信で大いに盛り上がったあの大会が終わってしまい、少し寂しい感じがしていた。それもこれも、振り返るそんな配信をしていこうと意気込んだ。
「今日も見てくれてありがとう!今日は一人で振り返り雑談していきます。あ、でも、途中で花蓮が来るとか来ないとか言ってた。途中から、二人雑談になるかも」
:把握!
:楽しみ
:了解
「さてと。見えているかな?切り抜き師さんに大会を振り返る動画作ってもらいました!多分、あとで動画公開すると思うけど、ここで同時視聴しちゃってください。あ、そうだ。この企画も切り抜き師さんから言われてね、これを企画したんだよね。本当に切り抜き師さんありがとう!」
そう、今回の振り返り配信はもう少し後にする予定だった。普通に疲れたので、昨日は休んでいた。だが昨日、SNSのDMを通じて切り抜き師さんから動画とこの企画の提案を頂いた。作ってくれた動画も早めに出した方がいいと思い、今日配信を行う。
あと自分でもなんで勝ってたのかが気になっていた。試合中は試合だけに集中していて、気づけばなんか優勝していた。今後の強くなるために、研究したところだ。また前の二人雑談でも言ったが、後日落ち着いて考えればわかる。この時間でわかるといいな、そう思いつつ配信を続けた。
「えっと、切り抜きはね……スクリムと本番3日間、本配信の映像の3種類を作ってくれていてね。確か約10分が8本、約5分が9本の動画を貰いました。いつも見ているからわかるけど、どれもクオリティが高くてね。本当にありがとう!頭が上がらないよ」
:切り抜き師化け物w
:125分って映画分の編集すご
:後でまたみるよー、ありがと
切り抜き師:いえいえ、ルート君こそお疲れさまです!
「本人いる!まじで寝てよ!体調、大丈夫?」
切り抜き師:今復活しました!
:ルート君の声で復活したw
:癒しボイスplzw
:あ、私も欲しい
「まあ、無理しないでね。あと癒すボイスはやりたくないなあ。賛同しないでよ……。早速、見ていきますか」
ボイスは需要があればという感じで……。絶対恥ずかしくなるからできればやりたくないなあ。
__________
「まずは、Dチームとのだね。最初はラッシュしようとしたら逆ラッシュされてたね。びっくりしたね」
:本配信でも面白がってた
:惜しかった
「で、あ。ここ花蓮のインチキウルトね。A4人いたのに破壊したね。こう見ると、勝負するところって結構正解だったね~」
:確かに
:花蓮さんのIGLすごい
「花蓮のIGLか。僕もIGLできるようになりたいな。で、ミッドを潰して僕がクラッチして勝ったね」
IGLというのは簡単に言うと作戦の司令官のようなものだ。リーダー的存在でもあるので、チームを引き連れて行く必要がある。またチームの命運を左右する作戦を決めるので、とても責任がある役割だ。僕も花蓮のような的確なIGLを目指せば、もっと強くなれる気がする。
そして、125分もの動画を流した。途中、動画を停止して情報を整理したり、視聴者のコメントからの意見をもらったりしてした。
動画を見て、意外といつもみたいな動きができていないことに気づいた。それはいい意味も悪い意味でもだ。この前、花蓮も言っていたが、ランクと大会では全く違う。ランクでは個人の強さが、大会では連携力が必要となる。そして、なにより質だ。数ではない。
僕たちCチームはスクリム二週間前から練習を始めた。初心者2人ということで早めに練習した方がいいと思ったからだ。レナさん、イフさんを中心に練習していたが、キラトさんも1から順に教えていた。長い時間をかけて、ゆっくり上手くなっていくそんな感じで練習していた。
反対に、Bチームはスクリム一週間前から始めていた。各自、基礎を蓄えてから、チームでの練習をしている感じだった。零さんのアドバイスはなかなか高度であり、その人に合う的確なものだ。それは基礎ができているからこそのアドバイスなのだろう。ある程度できている基礎から質の良い柱ができ、それに沿って自分たちで家を建てている、そんなイメージだ。
「やっぱり本配信を観ると他のチームもすごいな。こう見ると、僕たちよく勝てたね」
:熱い戦いだったね
:ルート君のスナイパーが救った気がするな
:接戦で面白かった!
「接戦だったね。僕のスナイパーなのか?まだなんで勝てたかわからないな。今日でわかると思ったけど案外わからないねえ」
:運と噛みあい
:ルート君がそれほどうまくなったと思うよ
:花蓮ちゃんに聞いてみたら?
:チームワークかな
「運……、うまくなった……、チーム。個人的になんとなくその3点が大きい気がするな。あ、花蓮に聞いてみるか。盲点だった」
本当に気づかなかった。師匠である花蓮の方が理解しているだろう。あとで聞こうと思っていたその時、ポロンッという通知と共に花蓮がやってきた。
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