第31話 振り返り配信後編

 振り返り配信をしていた。動画見終え、視聴者と勝因を一緒に考えていた。その時、ポロンッという通知と共に花蓮がやってきた。


「こん。お待たせ」

「あ、こんばんわ。丁度いいところに来た」

「ん?どした」

「今ね。勝った要因を考えていて、つまっていてね。花蓮の意見を聞きたいなあ」

「ん。勝った要因……大半はルートだよ」

「そう?視聴者にも言われたけど、スナイパーだから活躍しているように見える気がする」

「スナイパーもそうだけど。本番前日の夜のやつ。あれが一番必要だった」


 本番前日の夜。僕が『』に気づいた日だ。花蓮に頼ったままではいつか成り立たなくなる。だから、僕はリーダーを支えるフォロワーとなった。リーダーがリーダーをしやすく導く。そして、リーダーはフォロワーを導く。互いに導き合うことで道を歩んでいく。


「あれはね。お義父さんにアドバイスもらったからね。僕の役割はフォロワー。花蓮を支えないといけない」

「フォロワー。助かった」

「おじさん__じゃなくてお義父さんからの教えでね。リーダーを導くことで、リーダーに導いてもらうって感じだよ。リーダーシップとかただ一人が頑張るじゃなくて、周りの人が支えることで全体が回る」

「リーダーシップ取れなかった、あの時。IGL難しい」

「だよね。僕もできない」


 :フォロワーって考え、すごいな

 :Cチーム全体で周りの人が支えている感じしてた

 :フォロワーシップって考えだよね。ルート君すごいな


 あの日、おじさんに相談したから知れたことだ。だから、おじさんにも感謝しないとな。今日のご飯は好きなもの作ってあげよう。


「ん。ルートすごい。そして、ありがとう」

「……うん」


 なんか師匠から久々に褒めてもらって、顔が熱くなってきた。急に褒められるとどうすればいいかわからないや……。


 :絶賛照れ中っと

 :照れ顔見てみたいな

 :ルート「……うん(照れ)」


「指摘されてもっと恥ずかしくなってきた」

「ん。視聴者攻めてくるようになった」

「みんなにいじめられています」

「まあ、いいじゃない」

「ま、いいか……ってよくない!」


 僕は断じてMじゃないと願っている。というか、本当に視聴者たちが僕をおもちゃのように扱ってくる。花蓮も例外ではないが……。


 :草

 :ルート君はMだからね。仕方がない

 :明らかにmだよな

 :じゃあカレルーになるな

 :いやあえてのルーカレだな


「カップリングしないでください……。あとMじゃない」

「カレルー……カレールー?あとルートはM」

「本当だ、食べ物になっちゃう。そういや、花蓮Sになっちゃうけどいいの?」

「そうだよ?」

「いいのかよと思ってけど、あの修行させるぐらいだもんなあ」

「ん」


 :カレールーwww

 :食べ物で草

 :花蓮ちゃんはSだなあー

 :コラボタグカレールーだなw


 デュオ名がカレールーはちょっとなあっと思ってしまった。今気づいたが、そういうのを決めていなかったな。まあ、なくてもいいだろう。


「ちょっとふざけすぎたね。話戻すけど、結局本番勝った要因ってなに?」

「私からしたらルートが頑張った。ルートからしたら運かな」

「運か。ここまでいくと運が相当関わってくるのかな」

「ん。まあ、運も実力のうち」

「そういうものか」

「ん」


 :運も大事だよね

 :実力だよ


 なんか簡単に見つかったけど、運なのだろう。あんなに悩んでいたけど、花蓮に言われたからそういうものだと考えた。


「あ、1万人おめでと」

「あ、ありがとう。花蓮も登録者1万人行ったよね。おめでとう」

「ん、ありがとう」


 今更だが、大会中登録者1万人を突破していた。キラトさんたちと練習しだしてから、登録者の伸びがすさまじかった。また、大会決勝戦の最終日にもたくさんの人に登録してもらえた。ここ2週間で、7000人もの登録者が増えた。とてもうれしい。そして、このきっかけをくれたキラトさんや大会の運営に感謝でいっぱいだ。


「キラトさん、イフさん、レナさんのおかげだよね」

「ん。みんなのおかげ」

「花蓮は記念に何かする?」

「んー。特には。今はリアルが忙しい。ルートは?」

「僕も特にはなんだよなあ。企画が思いつかないな」


 :凸待ち配信とかどう?

 :普通に雑談してほしい

 :質問箱もつけて!


「まあ、そのうち決めようかな。僕もリアルが忙しいし」

「ルートも。あ、数日コーチングできない」

「え、まだコーチングしてくれるの?」


 普通に驚いた。大会だけの付き合いになってしまうのかなとか危惧していた。そんな心配必要なかったみたい。


「ん。まだ私みたいになってない」

「大会に向けてだけだと思ってた。まあここまで来たし、上位帯の頂上に行きたいし」

「そしたら、私とゲームできるよ」

「別に花蓮だけじゃないし。友達出来たしほかの人とできるし」

「自分からはコラボ誘えない癖に」

「なんか最近花蓮も心を刺してくるんだけど!」

「ふふ」


 :www

 :いいぞもっとやれww

 :てぇてぇ

 時雨レナ:てぇてぇ

 :厄介もいますとw


「あ、レナさんだ。てぇてぇくないよー。そんなに言うなら、キラトさんとレナさんのそういうのを久しぶりに見たいなあなんて」

「オタク出てる」

「最初からだよ。僕は根っからのオタクです」

「はいはい」


 __________


 それから、結局2人で1時間ほど雑談していた。このようにゆっくりするのが久しぶりでなんだか楽しめた。チームの空気も好きだけど、花蓮との時間も好きだな。そんなこんなで、僕は配信を終えた。

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