第29話 お疲れ様
優勝インタビューを終え、僕たちは配信を終えた。
みんなも僕もかなり疲れているので、後日祝勝会の配信いわゆる二次会をすると約束した。僕も、さすがに疲れたので、今日はもう配信を終わった。明日は大会の振り返る配信とかできたらいいな、そう思いながらパソコンを閉じた。
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(正宗視点)
「お疲れ様。優勝おめでとう」
「おじさん、ありがとう」
「とりあえず、風呂に行ってらっしゃい」
「うん。リフレッシュしてくる」
戻ってきた智樹を労う。そのつもりで、色々準備をしておいた。風呂もご飯もその他もろもろ。そろそろ、ご飯を温め直そう。
そう思ったとき、俺のスマホから着信が来た。私物の携帯ということは……画面を見ると、やはりあかりからの電話だ。出ても怖いし、出ないと明日どうなるか。……恐る恐る、俺は電話を出た。
「こんばんわ」
「はい、もしもし」
「いきなり、ごめんね」
「え。仕事?」
「休日には仕事させないわよ」
「はい?」
「……あまり」
「4週間連続休日出勤」
「あなただけの特別よ」
「そんな特別いらないよ……」
本当にその特別いらない。慣れてしまった俺も悪いような気がするが、もう少し俺の仕事を減らしてほしいところだ。
「それより、まずは優勝おめでとうかしら」
「それ俺に言う?まあ、ありがとう」
「あとで伝えておいてよ、ルート君に」
「それだけ?」
「なわけないでしょ」
「ですよねー」
「単刀直入に言うけど、やっぱりあの子いるわよ」
「えぇー。確かに才能はあると思うけどさあ」
なるほど、あの話か。大会も終わるしそろそろ、あの事業も進めなきゃいけない。だから、あかりはこの話をしてきたのだろう。
「これからどんどん伸びていくわ。なんなら、あの子が中心になるかもね」
「でもさあ。自由にやらせたいけどな」
「別にそんな縛るつもりないけど」
「……社長がこうだし」
「悪口かしら。あとこの待遇はあなただけだよ」
「……本当に特別だあ。悪い意味で」
「どちらにするにしても、本人には確認を通しておかないと」
「そうだよな。智樹に任せるか」
自由にさせたいという俺の思いは勝手な考えだ。あの子は賢いから自分で自分のことを考えられるだろう。放任的だがあの子に託そう。
「あ、そういえば。こっちは了承したよ」
「まあ、するよなあ」
もう1人の方はうまくいったのか。より智樹が必要となってしまうなと思ってしまった。
「あと、車を来週出してほしいけどいい?」
「来週?土日ってこと?」
「うん。できれば両日」
「多分大丈夫。どうして?」
「花蓮が引っ越しするって。物件は結構前から借りているから、大会終わったし少しずつやろうと思ってね」
「ふーん。わかった。あ、智樹も連れてくか」
「おもしろそう。2人は互いの正体に気づくかなー」
「どうだろうね。案外気づきそうだけど」
大人たちのいたずら心だ。あかりの場合、普通に面白そうだからだと思うが。俺たちは、智樹が風呂を上がるまで、会話を楽しんだ。
__________
(智樹視点)
「ふふうう。疲れたああ」
身体を雑に洗い、すぐさま浴槽につかる。僕用に浅くなっている浴槽。手でうまく上半身を立ち上げ、腰を掛ける。温かいお湯が僕を癒してくれる。
風呂に入ると一日を振り返る。別に日課とかではないが、癖で考えてしまう。蒸気とかお湯が心地いいから、頭もよく回るのだろう。
今日は優勝した。ただそれだけが印象的だ。だが正直な話、なぜ勝てたかはっきりしていない。僕が強くなったのか、花蓮の指示が完璧だったとか、チームワークがよかったなど。実際は様々の要因があったから、優勝できたのだろう。
しかし、これといった要因が思いつかない。まあ、また今度じっくり考えるかあ。
「おっと」
とても心地よくて眠くなってきた。当たり前だが、風呂で寝ると溺れてしまう。まだ死にたくないからね。寝落ちする前に風呂を上がろう。
風呂上り後、おじさんのおいしいご飯を食べた。かなり遅めの夕食だが、とてもおいしかった。あかりさんのおかげで、料理に意欲的にやっている。これからも頑張ってほしい。でも、仕事で死にかけるんだろうな。
そして、その後ぐっすり寝た。
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あとがき(2023/2/11記述)
どうも、雨野こうです。ここまでお読みいただき、ありがとうございます!
さて、無事2章これで完結です。今回はゲーム大会を中心に書いてきました。いかがでしたか。僕はかなり書きたいことを書け、満足しております!
次章では、リアルことをメインに書いていきます。ルートより智樹としてのことや過去についても掘り下げていく予定です。ぜひ、お楽しみに!
また、来週の火曜日にとあるSSをあげます。初めてSSを書きました!こちらもお楽しみに!
※注意!だいぶ時系列が変わるので、期間限定で上げさせていただきます。ただし、本編が時系列を追い越ししだい、再度公開いたします。
最後に、感想などコメントしてもらえると、励みになります。ご気楽にコメントしていってください!あ、今回もフォロー等もよろしくお願いします!
それでは、引き続き『とあるVtuberのお話』をお楽しみください。
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