第17話 成長

 おじさんに相談することで、自分の考えがすっきりした。

 しかし、僕だけがすっきりしても意味がない。だって、Valは5人みんなで行うゲームだから。そして、あのチームで明日ゲームするんだ。

 僕は勇気をもって、みんなにチャットした。


「話し合いませんか?」っと。


 __________


「こんばんはです」

「こん」

「こんばんわ。さっきぶり」

「ごめんー。ちょっと遅れた」

「よし、これでそろったね」


「えっと、今日はすみませんでした。完全僕のせいです」

「そんなことないよ。僕だって攻撃がうまくいかなかった」

「いえ、それこそそんなことじゃないですか。僕は花蓮を支えることをできていませんでした。二番手として、意見も言ってなかったし。僕がちゃんとフォローできていたら上手くいっていました……」

「それ言ったら、私が全部倒せば勝てる」

「……師匠、それは違うのでは?」

「……うん、花蓮ちゃん、それは違うw」

「ふふ」

「あはは」

「はは」


 少し重たい空気が、花蓮の渾身のギャグで軽くなった。本人はそういう意図はなかったと思うけど。

 今は謝っているだけではだめだ。


「みんな悪かったということで終わっとこう。ここは。今日はごめん」

「うん、ごめんなさい」

「ん、ごめん」

「ごめんなさい」

「ごめんなさい」


 みんなで謝り合った。これから変わっていこう。


「ちなみに、盛り上がっているけど大丈夫?」

「あー、やっぱりか」

「なにがですか?キラトさん」

「え?ルート君?」

「え?気づいていないの?」

「僕配信しているよ。チャットしたしよね」

「はい、ちゃんと知ってますよ?」

「まあ、ルート君なら気づいていないよね……。それよりも厄介として、私花蓮ちゃんにどうだったか聞きたい」

「厄介だなーw」

「……ん、まあいつも通りなんだろうなと」

「それで?」

「まあ、そう思ってくれてうれしいよ」

「ふううー」

「なんか俺も笑顔になった」

「あはは、うちのチームの癒しだよ。この二人は」

「……?」


 キラトさんの配信を見ることができておらず、コメントがどうなっているのかも見えない。結局、僕はまだわからないままは進んだ。


「それでどうしようか」

「はい!僕意見があります」

「ん、なに?」

「意見というかお願いです。ペアを二種類にすることとみんなで自由枠を回しませんか?」

「どういうこと?」

「えっと、前は弱点を改善しようとしていたけど、そのせいで僕たちの長所の速さが欠けている気がします。だから、みんなが動きやすくするために、キャラ自体を変えたり、一緒に動く人を変えたりしてみたいです」

「なるほど!」

「確かに、対応する手段を増やしたいね」

「ん。他に意見は?」

「あ、私ピックマップ変えてもいい気がする」

「あー、確かに。変えるのもありか」

「よし、じゃあその三点を話し合おうか___」


「よし、これでいいじゃないかな」


 一つ目のペアに関しては、ルートとキラトの前衛ペア、イフとレナ、花蓮の後方グループに加え、ルートと花蓮の師弟ペアとキラトとレナの新たな前方ペアを作った。それに伴い、イフさんはラークを中心にして、より自由に動けるようにした。

 二つ目のキャラ選択に関しては、いろんなキャラが使えるルートとキラトで交互にキャラを変えることにした。本当なら花蓮も使えるようにしたかったが、花蓮にはキャラの制限があるため自由に選択できなかった。けれども、キラトさんが加わることで、より複雑な動きをすることが可能となった。

 三つ目のマップに関しては、今から半日で新たなマップを覚えるのは困難と判断し、変更は断念をした。


「あとは花蓮の負担を減らしたいですね」

「そうだね。でも、初心者だからなあ……。あんまできることなさそう」

「逆に花蓮さんに何して欲しいか、俺は聞きたいな」

「んー。確かに大変だけど、いけるよ?」

「師匠は無理するからダメです」

「私もなんとなくそんなイメージだからな。花蓮ちゃん、なんでもいいから言って欲しいな」


「んー。……やっぱ、情報をもっと教えて欲しいかな。些細なことでも伝えてくれると指示しやすい」

「OK」

「了解」

「もう一つ。特にルートだけど……いい?」

「はい」

「サブオーダーとして意見を言って欲しい。私が指示したことが正しくないかもしれないから、どんどん言って欲しい。みんなもやりたいこととか言って欲しい」

「わかった」

「うん」

「了解」

「このぐらいかな。……ありがと」

「ううん、こちらこそありがとう」

「そうだね、ありがと」


「よし、早速試したくない?」

「うん。どこかのチームいないかな?」

「さすがに、もう深夜だしいないかも」

「それなら、うちの視聴者呼びましょうか?」

「ルート君のカスタムね。毎週やっているけどみんな強いよね」

「いい相手になりそうじゃん」

「ちなみにどのレベルしましょうか?」

「激むずで!」

「イフー?やめとこよー」

「僕たちのちょい上ぐらいにできる?」

「了解です。えっと、上位帯3人、中位帯2人でいいかな」

「うん、それで」

「了解です。え、もう。……よし、カスタムできましたー」

「ん」

「ありがとう」

「招待してー」

「はいはい」


 __________


 僕たちは、試行錯誤たくさん練習した。

 みんなの長所を高め、短所を補うために、色々なことを変え挑戦した。もちろん、うまくいかないこともあったが、それでもみんなが納得するまで、意見を出し高め合った。

 その結果、いいものになった。一週間よりも今日よりも、何倍も何百倍もよくなった。みんなのおかげで、みんなの大きな自信となっただろう。

 チームのみんなだけではなく、視聴者にも助けられた。遅い時間帯だったが、僕のためにわざわざ起きいてくれた人もいた。本当に感謝しきれない。


「ありがとう、みんな。明日絶対勝つから」


 叔父さんが気づかせてくれた、大切な事。花蓮のために、僕は今一度頑張らなくてはならない。決意しながら、明ける夜を眠る。

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