第3話 今日ものんびりと

 翌日、今は午前中、何をするか迷っていた。

 僕は通信制高校に通っているため、時間が多く持っている。同級生の多くがバイトをしたり、自分の趣味を追求したりしているらしい。僕はまだ最近転校したばかりのため、何をすればいいのかあまりわかっていない。時間を有効的に使うことが難しいなと感じた。


「暇だし、ゲームの練習でもしようかな」


 そう思い、僕はパソコン部屋にやってきた。

 僕が住んでいるこの家はとても広い。二人で住んでいても空き室ができるほどだ。おじさんは僕が住みやすくするため、わざわざ広くバリアフリーな家を借りてくれた。まあ、都市部から離れた郊外だから、少し不便だけど。

 たくさん部屋があるため、僕は二部屋もらい、一つは寝室に、もう一つはこのパソコン部屋として使っている。パソコン部屋にはデスクトップパソコンとたくさんの機材が置いてある。

 月々もらっているお小遣いや両親が遺してくれたお金を少し使いに、たくさんの機材を集めた。おじさんの人脈を借りて、中古品や訳あり品など安めにしてもらったことが大きかった。


「そういえば、キャラコンとか動画にあるのだっけ。せっかくだし、1から学ぼうー」


 見るなら強い人がいいと思い、SNSを使い調べた。色々調べている中で、一つの動画に目が行った。


「世界ランク5位花蓮かれんのキャラコン解説。世界ランク5位か、すごい人のだな。みてみよ」


 実際に見てみると、これは解説なのかと思ってしまった。

 なぜなら、操作している本人があまり喋っていないからだ。なんとなく、伝えようしているのはわかるのだが、言語化するのが苦手そうだ。まあ、理解するのに一瞬遅れるだけなのでいいか。


「なんとなくわかったし、やってみるか」


 数時間後、何度も動画を見返しながら、大体の基礎知識がついた。あとは実践あるのみだろう。続きは配信しながらでいいかな。どれだけ上手くなれるか楽しみに思いつつ、僕はパソコンを閉じた。


 __________


「Hello、みんな。ルートですー!今日もValします」


 :ハロー

 :こんばんはー

 :hello-


「今日はソロランクやっていきます。今日ね、ちゃんとキャラコン練習してきたから期待していて」


 :お、楽しみ

 :エイム化け物なのにすごいことになりそう

 :攻撃のキャラやってみたら?


「攻撃ねー。やったことないからね。何がやりやすいいとかある?」


 :どれ使ってもすごそう

 :グレ使いは?


「グレ使いか。これだよね?確かにグレが強いからな。あ、グレ楽しいー!よし、このキャラでやってみよ」


 __________


 一試合目、なんとか勝つことができた。まだキャラコンがおぼつかない。また、攻撃するために前線に出るエントリーがあまりできておらず、とてもひやひやした。でも、エイムでゴリ押し勝てた。やっぱエイムが一番!


「あぶな。エントリー下手すぎだったw」


 :打ちあがっていたねw

 :なんで勝てたのだw

 :もう少し手前でエントリーやったらいける


「さすがに練習しますー。あ、今日も有識者さんありがとうございます。それで、手前にやったほうがいいだよね。このぐらいかなー」


 それから、今日も有識者さんに教えてもらいながら練習した。そのおかげである程度は、安定してエントリーができるようになった。


「よし、二試合目行こうー」


 :がんばれー

 :ファイト


「よし、ピックできた。がんばろ。」

『よろしくお願いしまーす。』


 野良の人が元気な挨拶をしていた。


「元気な人だね。ランクってボイチャした方がいいのか?」


 :つけた方がいい

 :あった方がいいと思う

 :苦手?


「苦手ではないかな。緊張するけど…。よしやってみよう。『お願いします!』」


「……」


「よし、静かっと。」


 :まあよくあることだ

 :nf

 :nt


「うん、ないふぁい。よし、ハンドガンがんばるぞー」


 __________


 :ヘッショ率高いよねー

 :nt


「そう?結構感覚で撃っているからわかんない。てか、普通に負けそう」


 :ラークしたら?攻撃二人いるし

 :まだ3-9の呪いがある


「ランクだけど、ラークしてみようかな。みんなと違う方向を進めばいいだよね?」


 :そうそう

 :破壊していけー


「がんばるー」


 __________


『ナイスー』

「『ナイスー』おー、ラークすると戦いやすいいね。いいこと知ったよ」


 :ラークしてエリアを破壊しているなw

 :nice

 :こんばんは、初見です


「お、初見さん、こんばんはー。」


 少し見続けてくれる人が増えたみたいだ。今日は昨日より同接が増えたり減ったりしていた。いろんな人が見てくれて、嬉しい。


「よし、次はBにでも行こうかな。」


 またラークしようとしていたら一人の味方がついてきた。


「味方さんが付いてきてくれるのかな?カバーしなきゃ」


 :閃光があるから気をつけて

 :ゆっくりでいい


「閃光、真っ白になるやつか。気をつけよ。」


 味方の人が急に閃光を出してきた。とっさにそれに合わせて、僕も敵と撃ちあう。


「え。……あぶな。今の勝てて良かった」


 :ナイスキル

 :うま


『Bいきましょう』

 野良の人がいい、みんなでBに攻め、このラウンドを勝つことができた。


 __________


『ありがとうございました』

『gg』

「『ありがとうございました!』ふー、勝てた。今日も絶好調だな」


 :gg

 :gg

 :うまかった

 :gg


「ありがとー。やっぱ3-9の呪いがあるのか」


 :やっぱり呪いだw

 :こんばんは、さっきの防衛のものです。ありがとうございました!


「あ。さっきの人、ありがとうございました!GGです」


 アカウント名にVtuberとつけていたからか、野良の人が配信に来てくれた。なんか、配信者らしく嬉しい。


「今日は後一戦やろうかなー」


 :そういや上手いシーンが多いからクリップとか切り抜きとかしていいの?


 試合が終わり休憩していた時、切り抜きに対する質問が来た。このようなやり取りも配信者らしい。実際に視聴者と交流していると、配信しているなあと実感する。


「あー、今は特に規制することはないかな。ゆくゆくは公認の人を決めてやりたいけどねー。あと僕自身ですこしやる予定ではある」


 :切り抜きあると見やすい

 :クリップほしい

 :切り抜きやりたい


「お、やってもらえるならありがたい。一応連絡もらえれば対応するのでよろしくね」


 昨日から見てくれている人だし、大丈夫だろう。まあ、僕自身まだ収益がないため、無賃労働となってしまうけど


 :切り抜き師誕生

 :おめでとう

 :ルートくんを拡散できるようにがんばります!


「あはは。こちらこそお願いします」

 __________


「今日は4勝だね。ランクも1つがったし、絶好調だったな。」


 :gg

 :GG


「あい。というわけで、今日はこの辺で。また明日ー」


 :おつー

 :お疲れ様でした

 :また明日!

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