第2話 初配信後の僕

「ふぅー」


 僕は肩の荷が下りると、椅子にもたれかかった。

 僕はルート、こと星野ほしの智樹ともき。通信制高校に通っている高校二年生だ。


「そろそろお風呂にでも入ってこようかな」


 僕は車椅子に乗り換え、パソコン部屋から出た。そう、僕は車椅子に乗って生活をしている。つまり、僕の足は不自由なものだ。


 高校一年生の夏、お盆で帰省中、交通事故にあった。その事故のせいで、両親と妹、そして自分の足を無くした。当時の僕は何もかも失い、これからどう生きるかわからず、傷心していたと思う。いろんなことが起こりすぎて当時のことはあまり覚えていないため、はっきり言えない。


 だが、Vtuberの配信を初めてみたことは鮮明に覚えている。最初は、イラストが生きているみたいですごいと思った。その日から、様々なVtuberを観た。企業勢も個人勢も、男性も女性も。みんなそれぞれのアイデンティティがあり、楽しんだり、元気をもらったりした。

 また、引き取ってくれた叔父も優しく接してくれ、少しずつ余裕ができてき、なんとか立ち直った。


 あっという間に過ぎた一年だったが、僕はもう生きることができるようになった。それと同時に一つの夢が芽生えた。

 Vtuberになりたい、と。


 そして今日、ついに僕がVtuberになった!

 叔父にはさすがに恥ずかしくて活動名は教えていないけど…。

 僕はようやく最初の一歩を踏み出せたのだ。これからどんなことが起きるのかとても楽しみだ。


 ­__________


「今日も遅そうだな」


 僕は、簡単な和食を作り、一人で食べていた。引き取ってくれた人は、星野ほしの正宗まさむねさん。僕の叔父に当たる人だ。おじさんはエンジニアでいろんな会社のシステムを作っているらしい。

 おじさん曰く、エンジニアはブラックだ。僕も転職したいよー、社長が許してくれないからできない…と前言っていた。エンジニアはかっこいいイメージがあるけど、大変なのだなと思った。社長が知り合いだから辞めにくいとか。なんか、うん、おじさん、どんまい。


「ただいま」

 噂をすれば、おじさんが帰ってきた。

「おかえりー」

 おじさんの目が死んでいる。今日も大変だっただろう。

「風呂沸いているよ」

「……入ってくる」

「あい」


 のそのそとおじさんが風呂場に行った。仕事で大変なのに引き取ってくれた、とても感謝している。


「さて、洗濯とか済ましておこう」


 おじさんを支えるため、簡単な家事は手伝っている。おじさんは無理しなくていいと言っていたが、ただ居候していると申し訳ないからしている。といっても、僕の体では限界なため、料理と洗濯、風呂を入れることぐらいしかできない。

 その後、おじさんと洗濯物を干し、早めに寝た。


 明日の配信もがんばろう!

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