第10話 プロポーズ
『ユウキくんとコウキくんのことだね? 二人は――』
白衣の老人が言いかけたところで、白い部屋のドアが開いた。
『ユカリ!! 目を覚ましたんだって!?』
『もう、おれたち心配だったよ』
車椅子に乗ったコウキを、ユウキが押してきて、仲良さげに部屋に入ってくる。
『君たちはまだ寝ていなさいとあれほど言ったのに』
老人は苦い顔をしたものの、それじゃ、少し若者だけで話をしなさいと、部屋を出ていった。
うん、ユウキもコウキも生きてる!! まぁボロボロなのはともかく、生きててよかった!!
『おれのことは、コウキがかばってくれて軽傷だったけど、コウキがちょっとね。かなり骨折してる。ユカリ、本当にごめん。おれが誘わなかったら、こんなことになってなかったのに』
ううん、と、ユカリが優しい笑顔で顔を左右に振る。なにかを悟ったような、大人の顔をしている。ああ、彼らが無事に元の世界に戻れて本当によかった。
『二人のおかげで、本当に大事な人が誰なのか、やっとわかった気がするから』
その声に応えるように、だいちゃんが上着のポケットから指輪を取り出した。
『おれと、結婚しよう、ユカリ』
『うん、だいちゃん!! ユウキごめんね』
ユカリがユウキに謝ると、今度はユウキの方がユカリに頭を下げる。
『実は、おれも本当の気持ちに気付いたんだ。おれ、コウキと一緒になる。結婚ができるのかどうかまではわからないけれど、それでも、ずっと一緒にいたいんだ。もう、周りの目を気にしたりしない。おれは、好きなように生きる』
『そう。よかった』
よし、よかった。生きてた。
あれ? そうすると、双子は? ミナトとイカリはどうなるんだ?
一難去って、また一難。つまり、つづくのじゃー
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