第35話 純情が破裂すると嫉妬になるらしい
と、いうわけで。ややこしいことになっているわけだが、ここでもうひとつだけどーしても聞いておかなきゃいけないことがある。
と、その前に。
「ミナト。悪いが少しばかり耳を塞いでいてくれないか?」
「……いいけど」
なにか言いたそうにしていたが、元はとてもいい子のミナトだ。おれの頼みをちゃーんと聞いて、両手で自分の耳を塞ぐ。
「よし。で? 双子の父親は誰なんだ? まさか、お前か? コウキ」
「まさか。おれは女には興味がないんだ。でも、あの女は元から血の気の多いところがあるから、本当にユウキの子かどうかまでは、おれにはわからない」
むーん、ここまで複雑になったかぁ。
「じゃ、ついでにもうひとつ。おそらくユウキはユカリの裏切りに気づいたのだろう。じゃあどうして、コウキ自らでユウキのことをたぶらかさなかったんだ?」
「そんなの簡単だよ。ユウキは元から女好きだから、おれの気持ちに気づいたってひどいことを言われるだけさ」
なるほど。
「で? 魔力はどこからしいれてきた?」
「おれが答えだが?」
……こいつら、魔力のために魔族を食ってきたのか。あーよかった。こんな話、とてもじゃないけどミナトには聞かせられない。
「ミナト、もう耳外していいぞ」
ジェスチャー込みでミナトに告げると、少年は大人しく言う通りにした。あー、君、本当に心配になるほど素直すぎるね。
そして、そんなおれたちの前に、空飛ぶ蛇女が現れた。いや、実際には上半身が人間で、下半身が大蛇? そんな感じ。で、まさかとは思うけど?
「母さんっ!! どうしてそんな姿にっ!!」
やっぱりユカリだったかぁー。
なんとなく無念感を抱えつつ、つづく。
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