第26話 鹿男、白状する?
おれの答えを聞いた魔王様は心底安堵しなすった。いや、だからおれが好きなのはジャスティス、あんただけだって。
おれの熱弁に、わずかに湿り気を帯びる魔王様が薄く微笑んだ。
うん?
「魔王様、もしかして熱が出てるんじゃ!?」
そりゃあね、久しぶりに外気を吸って、魔力も使って、頭痛もすると体調は最悪。挙げ句の果てにたくさん死なせてしまったし、知恵熱くらい出るさ。魔王様って繊細だもの。
「だが、今はそんなことに構っている場合ではなかろう?」
「可愛らしく首を傾げないでください。ほら、タヌキたちからもらった水のいらない痛み止めを飲んでくださいよ。ちょっとは効果があるでしょう」
そう言うと、おれはタマムシ色の丸薬を取り出した。
「うむ。すまない」
「えー、おっほん」
「なんだよ、鹿男。さっさと白状しちまいな?」
鹿男をすっかり蚊帳の外に放り出して、いちゃつき始めたおれたち。いやー、おれだけのジャスティスなんだぜ、なんて見せびらかしたくなるんだよなぁ。
「えー? おれも混ぜてよぉー!!」
「うるせぇ、鹿男!! ささ、魔王様。軟膏をホーンに塗りますよ」
「重ね重ねすまない、デルタ。そなたのおかげで我はとても助かっている」
「そぉーんな水くさいこと言いっこなしですよ。おれとジャスティスの仲じゃあーないですか」
「デルタよ、顔が近い」
なんて、この期に及んでイチャコラさっさと。えー、一応念を押しておきますが、この作品はBLとなります。えー? BLー? なんのことかわっかんなぁーい、というそこのあなた。今ならまだ引き返せます。さ、さ、どうぞ。おかまいなく。
「あー!! わかった!! 白状します!!! 魔界のちょーっと綺麗な子供たちを攫わせて来たのはこのおれの命令だし、人間界へは好きな時に行き来することができる。だが、おれは人間界が夜の時にしか行動することができない。なぜならおれが死んでしまうからだっ」
「はい、白状したなー。おい、コウモリたちよ、縄持って来い。そしてこの極悪外道な鹿男を真昼間に日干しにしてやろーぜ」
まぁ、このくらいのことは簡単にできるわけさ。
「で? どうやって人間界に行き来しているんだ? 魔族より外道な人間がっ」
「デルタよ。そなたは時々口が悪くなるのはなぜなのだ?」
「威嚇に決まってるじゃないですか、魔王様ぁー。んー、もう、おれのジャスティス。かーわいーっ」
「白状します!! しますからどうか、これ以上目の前でいちゃつかないでくださいよぉ。目の毒です。お許しくださいっ!!」
おーおー。鹿男の分際でこうべを垂れるとは根性なしめっ。できれば、もうちょっとどさくさに紛れていちゃついていたかったのにさ。
「実は、洞窟の奥に人間界へと通じる不思議な穴があるのです。でも、この穴は、大人の魔族では通ることができません。ですから、子供の魔族を誘拐して来たのです。どうせなら可愛い子の方がいいでしょう? ま、おれはどっちかというと女の子よりも同年代の同性の方が好きなんだけど。それで、人間界の便利なものを運び込んできてるんです」
「それで? その騒動に紛れて、子供たちも洗脳しちまったってわけか。解け。今すぐそんな魔法は解いてしまえ!!」
「それがぁー、ですねぇ」
ああーん? 文句あるってのかぁ? つづいちゃるぜ。
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