第24話 嫉妬に駆られた男はあさましい

「だが、おれは魔界に来て、この洞窟にこもるようになってから、こっそり魔法を使えるようになった。しかもそれは服従魔法。あっははっ。ユウキの奴、おれがコウモリ族を取り仕切ってるって知ったらどんな顔するんだろうな?」


 いやー。多分だけど、あんたのことなんて忘れているんじゃないの? こうして洞窟に放置されたままだし。


「長いこと手を焼いたが、こうして異形の姿になることもできた。その経緯も聞きたいか?」


 どちらかと言うと、おぞましい話は聞きたくないんだが、あんた話が好きそうだねぇ?


「できることならば、聞かせてくれたまえ」


 あちゃー。魔王様、お人好しだからなぁ。もう完全に同情しちゃってるじゃん。えーと、コウキだったっけ? に。


「いいだろう。話してやる」


 っていうか、話す気満々じゃんよ。


「洞窟内でコウモリ族を服従させてから、数名の族を城内に送り込んだ。するとどうだ。ユウキの奴、双子の兄弟までもうけていたじゃないか。おれは激しく嫉妬したね。おれとお前は同士としてホニャラララなことまでしてきた仲じゃないかと。しかも、魔王からホーンをもらい受けたとまで聞いた。おれはすぐに立派なホーンを生やした生き物を、生きたままとらえてくるようコウモリ族に命じた。そして、生贄として差し出された鹿を食い、さらにはおれのホーンをコウモリ族にも与えて、服従しつづけている」


 る? あれ? 話は? まさか、これでおわり? 復讐とか、そういうのはないのかよ?


「ここから出られないのでな」


 ああ、そうだったな。


「まだ聞くか?」

「あー!! もったいつけてないで早く話せって」


 もどかしくなって思わず叫んでしまったが、いやはや、ここまで聞いた話だ、最後まで聞いてやろうじゃないのさ。


「おれは、村中の薬師をとらえさせてはその能力を試した。そしてついに見つけ出したその薬師は、ユウキの子供を治療した薬師だったんだ。だから、そいつもおれに服従させた。ユカリが薬師とくっつくように細工してな。なんだか禍々しい大蛇だったが。さらに、ユウキにはコウモリ族の女人を送り込み、しっかりたらしこむようしつけた。これでいつでも城に乗りこめる。そのはずだった」


 ああ、あんた、洞窟から出られないんだもんな。せっかく長々と説明してくれたのに。なんか、お疲れ様。


「あんたさぁ!! さっきからおれのことを哀れむような目で見るのをやめてくれよっ!!」


 すまない。だが、つづいてしまうのだよ。



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