のっとデミグラス
からいれたす。
のっとデミグラス
フードを目深にかぶった変態が、目の前に立ち塞がったわけだ。
直感が
「よ~よ~ぱいせん。ちょっと相談があるんよ」
「なんだよ、おにぎり。唐突だな、だが断る」
「そこをなんとか、なりませんでしょうか?」
「じゃ、ラッパーっぽく面白いことを言ったら、聞いてやろう」
ええい、鬱陶しいひっついてくるな、オナモミかよ。洗濯板があたるんだよ! だいたい腕をがっしり確保されていると、逃げるに逃げられんだろうが。
「いけず~。紳士に変なことされちゃうぅぃ~」
「よし戦争なんだな。でも面倒くさいので帰るわ」
子供のような身長と体型で、それは洒落にならん。
本当に話を聞いてほしいのか? 俺を社会的に抹殺しにきているヒットマンの可能性もちょっとある。
「まって~。なんでもやりますから、なんでもやりますから。――――YO-SAY! わたしエルフ、お前イミフ」
「ぷっ。うるせーよ」
うわ、顔真っ赤じゃん、うける。アホやアホの子がおる。まぁこの低能に免じて話ぐらいは聞いてやろうかね。
「ちょっと人前ではいいにくいんよ」
「じゃ、どっか物陰にでもいくか」
「え、えっちなのはいかんよ」
「やかましい。おまえみたいな、ちんちくりんはちょっと」
と、校舎の
「なんかふられてるみたいで心外やよ」
「心外なのはこっちだわ! で、相談ってなんだよ」
そうしたら、おにぎりはおもむろにフードを外して、その
一点、いつもと違うのは、耳がちょっと長くなっていることだ。
「耳伸びちゃった、てへ」
「てへ、じゃねーよ。えっ、伸びた?」
そうじゃねぇだろ、なんだか病気とか呪いとか、もっと不安とか緊張に満ちた雰囲気をだせよ。そこまで脳天気な脳みそが心配だわ。
「私って常々、エルフになりたいって言ってたじゃんよ?」
「ああ、言ってたね、アホの子だと思ってた」
「ふふん、私はやればできる子やった」
「普通やってもどうにもならんだろ、
思いだけでは、身体的特徴の変更は難しいだろう。ってそろそろハロウィンも近いし、担ごうったってそうはいかぬよ。
「あさ、目が覚めたら伸びてたんよ」
「それは、ゼペットじいさんの呪いとか受けてないか?」
「嘘をついても伸びないからっ!」
そんな馬鹿話あるか、である。
「これであたしも妖精の仲間入りなんよ」
「いや、エルフは亜人だろ?」
「断固、妖精なんよ。デミグラスと一緒にしないでほしいよ。この世界線はビフォア・トールキンだから」
「デミヒューマンな。でみしかあってないじゃんか」
それはハンバーグとかにかかってたりするやつだ、アホめ。オークのデミグラスソースとか、逆にうまそうな気がして嫌だわ!
などと言いながら、その
「あんっ」
「おい、変な声出すな」
くにくにくにくにくにくにくにくに。やべぇ、触り心地サイコー。
「あんっやんっ、そんなに触られたらこそばゆいんよ」
「あたたか~い。まじかよ! エルフさんじゃないか! 伝説の生き物になってるじゃんか」
特殊メイクにしてはリアルにすぎる。体温まで感じられるし、どうゆうことなんだろうか。
「だからそういってるんよ」
「おっぱいないし、中学生ぐらいから容姿かわってな……耳は伸びたな、うん」
「ほほう。詳しく説明してもらうんよ」
「い、いや。かわええって話だよ」
「むぅ、なんかごまかされてるのに、ごまかされてるのにぃ」
まんま、エルフの条件に合致してるじゃないか!? まさか知り合いの女子がエルフになってるとか、意味がわからなすぎる。どうすんだよこれ。でもちんちくりんだからなぁ。
「せいぜいレッサーエルフだな」
「なんか劣ってる感がすごく嫌なんよ」
容姿は最高ではあるんだが、なんというか凹凸の問題で、素直にエルフとは言いにくいんだよなぁ。
「で、これから今日はどうするんだ?」
「講義なんよ」
「平常運転すぎる! つまらねぇ一日だな、必修は?」
「今日は選択が二個だけなんよ」
貴重な青春の一日を講義なんてものに費やすのは人生の損失だしな。うむ。魔法とかでんかなぁ~。
「それはよかった、確保……デートしよう!」
「なんか確保とかいいましたよ?」
「気のせい気のせい。さっ今日という一日を有意義に過ごそう。ということで動物園にいこうか~」
「売る気、まんまんじゃないですかぁ~~~」
「ソ、ソンナコトナイヨ~」
のっとデミグラス からいれたす。 @retasun
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