第101話 違いを感じる
その後、併設されているフードコートに入る。
そして、サービスのお茶を飲みながら、のんびりと過ごす。
こういった時間も、なんか良いな。
「ふんふふーん」
「……機嫌いいな?」
「まあねー、野崎君のおかげでリラックスできるし」
その言葉通り、椅子に寄りかかりダラーンとしている。
しかし、本人は分かっていない……パーカーから漏れ出る色気を。
ジッパーを上まで上げてないから、谷間が露出している。
しかも、ジッパーによって胸が更に寄せられていて……破壊力が抜群です。
「そ、そうか」
「ふふ、優しいところあるじゃん」
「べ、別に」
い、いかん、視線が外せん!
というか、何故上まで閉めない!?
「……恥ずかしぃ」
「うん? なんて言った?」
「何も言ってないし! あっ……桜から連絡きた」
「なんだって?」
「二人共泳ぎ疲れちゃったって……それで、もうプールから出て着替えちゃったみたい」
「まあ、結構はしゃいでたからなぁ」
「とりあえず、迎えに行こ。桜が更衣室の近くにいるって」
「ああ、そうだな」
俺達はフードコートを出て、再び更衣室に向かうのだった。
そして、更衣室近くに来ると……葉月の友達が待っていた。
「やっほー」
「桜、ごめんね」
「別に良いってー」
い、いかん、陽キャ女子がいる。
二人揃うと、俺なんかが近づいていけるわけがない。
「えっと、野崎君だっけ?」
「は、はい」
「こうして話すのは初めてかも。横山桜っていいます」
「ど、どうも……野崎天馬です」
こ、声が震えてる……! 我ながらくそだせぇ……!
だが、陰キャの俺にはハードルが高すぎる。
「ガチガチじゃん! 普段から、こんな感じなん?」
「うーん、最近はそうでもないかなぁ。ただ、最初はこんな感じだったかも」
「へぇー、なるほどね。あっ、とりあえずプールから出ちゃったから。もう髪も乾かして、二人共外にいるよ」
「うん、メール見たし。ほんと、ごめんね」
「別に良いよー、小さい女の子可愛いし。私も、妹か弟欲しかったな〜」
「えぇ〜? そうかなぁ? 私はお兄ちゃんかお姉ちゃん欲しかったけど」
「無い物ねだりってやつだねー」
ぽんぽんと軽快な会話がなされ、俺が入る隙間がない。
これが、陽キャの力か……。
「それで、 今はどうしてるの?」
「今は、お兄ちゃんが外のベンチで見てくれてるから」
「じゃあ、急がないとだね。野崎君、髪乾かすの時間かかるから、悪いけど先に二人をよろしく」
「わ、わかった」
葉月達が更衣室に入るのを確認し、俺も急いで更衣室に向かうのだった。
……ああいうを見ると、やっぱり違うんだなと思ってしまう。
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