第82話 ヒロイン視点
終業式を終えた後、いつものメンバーでマックに行く。
お金の件や、弟や妹がいるから、二回に一回は断るけど。
野崎君のおかげで、少し余裕が出来たから本当に助かる。
……野崎君に恥をかかせないように、私も頑張らないとね。
ひとまず、贅沢にLLセットを頼んで席に着く。
「とりあえず、1学期お疲れ〜」
「「「「お疲れ〜」」」」
坂本君の号令で、みんなでジュースを掲げる。
今日は、一学期お疲れ様会と評した、ただのおしゃべり会だ。
坂本君、三浦君、桜、亜里沙、私の五人グループ。
最近は、ギスギスした感じもなく、割といい感じではあるけど……。
それが、逆に怖かったりする。
「それで、夏休みはどうするのかな? ちなみに、俺はバイトに明け暮れるかな。多分、今年の夏しかガッツリバイトできないし。さすがに、冬になる頃には辞めないとだしね。その頃には、受験も意識しないとだし」
坂本君は大学は都内に行きたいらしく、今は一人暮らしのお金を貯めてるみたい。
「あぁー遊びてぇ……」
「私達は遊んだら良いじゃん!」
「まあ、そうだけどよ……俺は補習がある。というか、俺より科目は少ないけどお前もだろ?」
「あっ、そうだった……というか、忘れてたし。じゃあ、一緒に受けよう?」
「まあ、そうなるわな。大学にいく気がないとはいえ、流石に留年はしたくない」
三浦君と亜里沙は成績が良くないらしく、今回は補習授業を受ける羽目になったとか。
最近、亜里沙が頑張っているので、それをみんなで応援している形だ。
そのおかげで、三浦君の態度も少しずつ変わってきたような気はする。
何より、私は亜里沙と仲直りできたことが大きい。
……これで、三浦君が私を諦めてくれたら良いけど。
「私もバイトかなー、欲しい物はたくさんあるし。あとは、そろそろ塾に通うかな」
「桜は良い大学狙ってるもんね」
「まあねー。結衣はどうするん? 野崎と遊ぶの?」
「うーん、どうだろ? 彼も忙しいみたいだし……私も夏はバイト三昧かなぁ。ただ、少しは遊びたいけどね」
ラブコメイベント用に遊んだりはするけど、彼は小説のコンテストがあるとかで、結構大変らしい。
「そうだねー、流石に何もしないのはあれだし。五人で、どっかにいく?」
「おっ! いいなっ!」
「さんせー!」
「まあ、それも良いかもね。ストレス発散って意味で」
「結衣はどうする?」
「一日くらいは平気だよ」
「んじゃ、決まりだねー」
その後、何をするか話し合いをする。
そして、解散した後……桜と帰り道を歩いていく。
「んで、実際のところどうなの?」
「えっと、一緒にバイトをしたり、プールとか、花火は見ようって」
「何それ!? 意外とグイグイくるじゃん!」
「はは……うん、そうみたい」
小説のことは言えないから、側から見たらそう見えるんだろうなぁ。
「でも、妹や弟は平気なの?」
「えっと、プールとか花火とか、野崎君は一緒でも良いって」
それは確認を取ってある。
プールとか、二人も行ってみたいだろうから。
お母さんも、家でゆっくり出来るだろうし。
そしたら、快く受け入れてくれた……それが、地味に嬉しい。
「……へぇ、良い男じゃん。最初はどうかと思ったけど、そういうところに惹かれたんだ?」
「うーん、そうかも。優しいし、一緒にいて安心するっていうか……まって、今のなし……恥ずい」
「あらら……こりゃ、マジなやつね。じゃあ、応援しないと。水着は平気? 結衣ってば、この二年でおっぱい大きくなったし。結構高いけどお金とも平気?」
「うっ……そこなんだよね。お金は平気なんだけど、一緒に見てくれる? で、できれば……可愛いの着たいし」
「うわぁ……この顔されたらやばいわ」
「へっ? ど、どういう意味!?」
「よし! 任せて! 可愛い水着を着て、野崎を悩殺させよう!」
「こ、声が大きいから!」
悩殺……それは出来るかわからないけど……。
恥ずかしいけど、頑張ってみようかな。
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