web作家で陰キャの俺、小説を書いてるのが陽キャのギャルにバレました~そしたら何故がラブコメみたいな展開になった件~

第76話 放課後

　そして、午前の授業が終わり、放課後を迎える。

　明日からも短縮授業のみで、テスト返却や残りの授業の消化だけだ。

「じゃあ、いこっ」

「おう」

　人は慣れるものなのか、俺と葉月が一緒にいても、誰も突っ込まなくなってきた。

　もちろん、時折……厳つい男子達から睨まれるけど。

　ただ、実際に手を出してくることはない。

　……もしかしたら、これも和也君のおかげなのかもしれない。

　もちろん、俺としてはそれを利用するつもりはないけどね。

　校門を出たら、拓也がポケモ○を喜んでやってることなどを聞かされる。

　そして、ある程度学校を離れたら……。

「それで、なんの話？」

「いや、少し長くなりそうだ。この後って、時間あったりするのか？」

「うん、平気ー。下の子達は、今日はおばあちゃんの家に行ってるから。私には病み上がりだから、ゆっくりしなさいって」

「あっ、そうだよな。じゃあ、今日は早く帰った方がいいか」

「ううん、体調は悪くないから平気だし。具合自体は、昨日で回復したし」

「うーん……しかしなぁ」

「もう！ それより、気になって仕方ないんですけど？」

「わ、わかった！ わかったから！」

　葉月は自然と、俺に顔を近づけてる。

　葉月は何とも思ってないだろうが……こっちは、いつも大変だよ。

「それで？ 何があったの？ 家に着いちゃうけど？」

「まあ、とりあえず……アキラさんいるじゃん？」

「アキラさん……ああ、野崎君の先生って人ね」

「びっくりしたんだけど……あの人、大人の女性の人だった」

「……へっ？」

「いや、男性だと思ってたんだけど、会ってみたらめちゃくちゃ美人なお姉さんだった」

「……へぇ、へぇ？ そ、それで？」

　うん？ 何か、葉月の声色が違う？ 上ずった？

「まあ、そこで色々と話を聞いてさ。とりあえず、詳しいことは明日以降でも……」

「却下」

「へっ？」

「今から、私の家にくるし」

「はい？」

「とにかく！」

「お、おいっ！？」

　怖い顔をした葉月に手を引かれ、俺は連れて行かれる。

　結局、そのまま家に上げられる。

　しかも、俺は何故か正座をさせられているし。

　葉月は、ずっと険しい顔をしてるし。

「はい、詳しい話を」

「え、えっと……」

「アキラさんが美人なお姉さんって話？」

「いや、それは割とどうでもよくて……よくはないが。本題は、別にあるんだよ」

「……ほっ」

「うん？」

「う、ううん！ 何でもないし！ そ、それで？」

「いや、葉月のことを相談したんだよ。何か、良いバイトはないかって。そしたら、下読みのバイトをしてみるかって」

　ひとまず、昨日受けた説明を、そのまま葉月に伝える。

「……ご、ごめんなさい」

「うん？ ああ、嫌なら断っていいから」

「ち、違うし！ そっちじゃなくて……あぁ！ もう！」

「お、おう」

　……ほんと、女子ってよくわからない。

「もう、自己嫌悪……野崎君は、私のために考えてくれたのに」

「よくわからないが……どうする？」

「ありがたく受けさせて頂きます。きちんと、お礼を伝えといてね」

「わかった。じゃあ、伝えとくよ。あっ、それと……」

「ん？ まだ、何かあるの？」

　これを伝えるのか？

　アキラさんから、昨日メールをもらった時は驚いたが。

　確かに、葉月なら効果抜群だし、日当も良い。

「あぁ……葉月」

「な、何よ？」

「その……コスプレする気はあるか？」

　意を決して、俺は言葉を発するのだった。