第75話 テスト返し

 週が明け、月曜になり学校が始まる。


 七月も中旬になり、今日から梅雨明けとニュースでやっていた。


 そんな中、いつものように学校へと向かう。






 通学路を歩いていると……軽く背中を叩かれる。


「お、おはよー、野崎君」


「お、おはよう、葉月。良かった、元気そうだな」


 どうやら、土日にゆっくり休めたようだ。


「ま、まあね! 誰かさんが見舞いに来てくれたし……」


 その言葉を聞いた瞬間、あの時の葉月が浮かんでくる。


 少し甘えた感じやパジャマ姿、ボサボサの髪とか……可愛かったなぁ。


「そ、その節は失礼しました。勝手に上がってしまいまして……」


「い、いえいえ! こちらこそ、お見苦しいところを……」


 妙な緊張からか、二人とも言葉遣いがおかしくなる。


 そして……同時に、二人で苦笑する。


「はは……」


「ふふ……私のパジャマ姿にドキッとしちゃった?」


「してない、断じてしてない」


 はい、めちゃくちゃしました。


「むぅ……それはそれで、なんだが腹がたつわね——えいっ!」


「っ〜!!」


 う、腕が組まれてお胸さんがァァァ!


 感触と共に、昨日の谷間が浮かんでくるゥゥ!


「ど、どう? これでもドキッとしない?」


「し、しない……というか、お前……顔真っ赤になってるけど?」


 よく見ると、耳まで真っ赤になってきている。


「もしかして、まだ熱あるんじゃないか? 大丈夫か? どれ……平気か」


 ひとまず、おでこを触るが熱自体はなさそうだ。


「な、な、なっ〜!! 野崎君のくせに生意気だし!」


「イテッ!?」


「ま、また教室でね!」


 俺の脇を小突き、先へと走っていく。


 ……一体、何がしたかったんだ?





 その後、午前中に……一部のテスト結果が返ってくる。


 そして、朝の様子は何処へやら、葉月は普段通りになっている。


 ほんと、女子ってよくわからない。


「ねえねえ、どうだった?」


「まあ、いつもよりは良かったな。これも葉月のおかげだな」


「それはお互い様だし。私も文系の点数が上がってたから一安心」


 あと、俺に関しては和也君のおかげだ。


 あとで、しっかりとお礼しないと。


「まだ全部は帰ってきてないけど……ひとまず、補修も受けなくて済みそうだ。これで、仕事に集中できる」


「私もだね。これで、夏休みは遊びやバイトに集中できそう」


 成績が良くなかったり、あんまり以前より上がってない人は、補修を受けるように言われたりする。


「あっ、バイトで思い出した」


「ん? どうしたの?」


「いや……ここじゃ、まずいか。今日の予定は、何かあるか?」


「今日は病み上がりだし、午前中授業だから特に何もないかな」


「それじゃあ、放課後帰りながら話すか」


「えっと、どういうこと?」


「まあ、とりあえず後でって事で」


「……ああ、あっちの方つてことね。うん、わかった」


 どうやら、小説関係とはわかってくれたらしい。


 流石に、教室で話す内容じゃないし。


 ……あの後、アキラさんから連絡に関しても伝えるんだよなぁ。


 ……葉月は、どんな反応をするんだろう?

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