第63話 ヒロイン視点
うーん……どうしようかなぁ?
隣に並ぶ野崎君の顔をチラチラ見ながら、今日の出来事を思い出してみる。
まずは、カラオケ行ったら歌が上手くてびっくりしたし。
あれは反則だし……クラスの打ち上げとか参加したいとか言ったらどうしよう?
いや、野崎君にとっては良いことなんだろうけど……色々と複雑だし。
でも、私だけが知っていたいっていう……いやいや! 私はなにを言ってるの!?
あとは、ゲーセン行って……プリクラとか久々に撮ったけど、結構楽しかった。
変な顔してなかったとは思うけど……可愛いとか普通に言われて嬉しかったし。
す、好きな人に言われると……こんなに嬉しいんだね。
とりあえず、私の卒業アルバムを見たことは許してあげようと思う。
……めちゃくちゃ恥ずいけど。
黒髪だし、変な顔だし、まだ身体も幼いし。
そういえば……あれくらいから急に胸が大きくなったっけ?
そしたら、急に男子達が寄ってきて告白してきて……うんざりしたっけ。
清楚系で巨乳とか言ってた気がする……はぁ、嫌なことを思い出してしまった。
確か、それから水着を着なくなったんだよね。
好きと言ってくる男子は、私自身ではなく身体を見てるってわかったし。
だから、なおさら……野崎君の言葉が嬉しかったのかな?
どっちでも葉月だって言ってくれた……野崎君のくせに生意気だし。
ほんと……最近、単純に楽しんじゃってる自分がいる。
「おい、平気か?」
「な、なに?」
「いや、難しい顔してたから」
「え、えっと……夏休みどうしようかなって考えてた」
「ああ、そういうことか。そんなに気にしないで良いよ。花火とか遊園地とか、無理なら無理で仕方がな」
「い、いくし! 絶対に!」
気がつくと、思わず食い気味に言葉を発していた。
「そ、そうか?」
「じゃ、じゃないと、ラブコメイベントできないじゃん!」
「まあ、それもそうだが……お金はかかるし。別に、俺が出す分には良いけど、葉月が気を使うだろ?ただ、それくらいは稼いでるから気にしなくて良いよ」
……か、カッコいいこと言うじゃん。
不覚にも、ときめいてしまった。
……なんか、ムカついてきた……いや、野崎君が悪いわけじゃないんだけど。
こう、私も……ドキッとさせたいところだ。
「そ、それじゃあ、何かご褒美をあげる」
「ご褒美? ……なんだろ?」
「わ、私の……水着姿とか。特別に、プールとか行ってあげても良いし」
じ、自分で言って恥ずかしくなっちゃった!?
「……水着……」
「あれ? もしかして想像しちゃった?」
「し、してない!」
動揺する野崎君を見て、少し溜飲が下がる。
少し意地悪しちゃったかな? でも、見た感じ喜んでくれそう。
お詫びじゃないけど……野崎君となら、プール行ってみようかな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます