第60話 尋問

なんとか無事に、プリクラを撮り終えると……。


「ほら、外に出るよ」


「お、おう」


外に出て機械の側面に立つと……さっき撮ったものと思わしき映像が出てくる。


そこには変な顔をした俺と、可愛く笑っている葉月の姿がある。


「うわっ、私ってば可愛くないし」


「そうか? 普通に可愛いが」


「……へっ?」


「……へっ? ……あっ……い、いや、一般的な意見ってやつだ」


「そ、そう……」


し、しまった。


思わず、心の声が漏れてしまった。


実際に、めちゃくちゃ可愛いし。


「というか、葉月は基本的に写真写りが良いし。俺の顔なんか見てみろよ、我ながらひどい」


顔は引きつってるし、ニヤニヤと気持ち悪い顔をしている。


写真慣れもしていなければ、女性慣れもしてないので仕方がないと思う。


「確かに、野崎君の顔は変だね。もっとリラックスしないと……うん? 基本的に写真写りが良い? ……どういう意味? 私の写真を見たことあるの?」


「……あっ」


しまった! つい、和也君の家でみた卒業アルバムが浮かんでしまった!


「野崎君? ……どういうことか説明してもらうよ?」


「……はい」





その後、プリクラの落書きを終えた俺たちは、ジュースを買って近くのベンチに座る。


もちろん、ジュースは俺の奢りだ。ちなみに、プリクラ代も。


そもそも、俺が付き合ってもらってるわけだし……だから許してくれないですかね?


「それで、なんで知ってるの?」


「いや、実は……和也……佐々木君の家で卒業アルバムを見まして……」


「あぁー……そういうこと……そういや、一緒の学校だったし」


葉月は顔を両手で押さえて、下を向いてしまう。


やっぱり、俺に見られるのは嫌だっただろうか?


「あっ! 悪いのは俺だから! 佐々木君が葉月と同じ中学だって言ってて、その流れで卒業アルバムを見るかって話に……」


「べ、別に怒ってないし。そういうことは、友達の家に行けばよくあることだし。それよりも……変じゃなかった? 髪は黒いし、真面目な顔してるし」


「変? ……いや、別に。今とは大分違うなとは思ったけど。というか、真面目な顔してなかったらおかしいし」


「ふーん……野崎君は、あっちの方が良かったりする?」


「うん? なんか、佐々木君にも同じこと聞かれたなぁ。別に、どっちでも良いんじゃないか?」


「むぅ、それってどうでも良いってこと?」


「いや、どっちにしろ葉月は葉月だろうし」


「……ふふ、そっか。じゃあ、勝手に見たことは許してあげるし」


「ほっ、助かる」


「じゃあ、UFOキャッチャーしよ!」


どうやら、ご機嫌は良くなったらしい。


まあ、その理由はわからないけど……別にいっか。








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