ノウサつ
イタチ
のうさつ
お遍路とは、四国八十八か所を
空海の痕跡を探るように歩く行為である
そして、お遍路は、常に、空海と一緒におり
お遍路を、空海さんとして、接待する風習がいまだに、根強い
その際に、納札として、空海の絵の描かれた
札を、通常 寺院に、納めるが
接待していただいた方に、上げる風習が存在する
私は、一人、道を地図を見ながら、歩いている
いつもなら、携帯を使用しているが
しかし、歩きであり
車でさえ無いので
カーナビはおろか
携帯でさえ、電源の心配および
電波状態により
使用できないことは、山の中では、たびたび存在している
その上に、人間が、一日に移動できる距離
体調 天気 食べ物 宿
等々を、考えながら
歩くので
それは、地理が、あまり得意でない人間でさえ
生きるために、普段死んでいる機能を、使わなければならない
私は、ようやく、ついた寺院で
大きな、リュックサックを下ろし
その中から
参拝に必要なものを、取り出して
砂利道を歩く
観光客
参拝者
車遍路 バス遍路
そして、私のような、遍路がいるが
歩きに関しては、日本人よりも、外人の比率が、圧倒的に
他の人数に比べては、高いだろう
まず、本堂に、お参りをし
蠟燭やお線香 お経を唱え
納札を終えると
私は、大師堂へと向かう
ここは、主に、真言宗の方々が、空海を、まつるために、作られれた建物だ
私は、蝋燭とチャッカマンを、取り出しながら
ふと、前に、私服の老婆の姿を見た
何か、辺りを見ているように思えたが
ふいに何かを、手元に入れて
彼女は、どこかへと去っていく
私は、気にすることなく
一連の動作を、繰り返した
その日、私は、宿の配分を間違えており
かなり、昼間の時間に、本来であれば、休もうと思っていた
東屋に付いたが
まだ、行けると思い
それが、問題で、夜の八時になっても、足を進めている
辺りは、雨さえ降っていないのが幸いだが
徐々に、虫の出ない時期を選んだおかげで
空気は、寒く
日中とは、偉い違いである
車道を走る車
時折、コンビニを見つけ
店内に入ると
温泉に入ったような、温かさに、安どする
そこで、体力を回復しながら
なぜかアイスを、食べ終えた私は、外に出て、歩道を、また歩き始めると
前方に、人の姿がある
杖を突き
服装は、比較的、軽装とは行かなくとも
こんな寒い時間帯に、着るものとは思えない
背丈は、老婆のようで、線は細い
白い杖は、どこからか、持ってきたのか
木の枝なのだろう
私は、ゆっくりと、距離がちじむのを、見ながら
その前方に揺れる影に、見覚えを、なんとなく感じていた
それはどうも、予想通り
何日か前、昼間の大師堂に、いた、人影のようで
うるおぼえの服装は、どうも、それに感じる
彼女は、何かを、口ずさんでいる
それは、お経というよりも
言葉であり
「次は根香寺 頼みます お願いします」
それは、拝むように
そして、小さな声は、般若心経を、唱え始めた
私は、宗派が違うので、般若心経は、お唱えしないが
しかし、いろいろ回っていると
知らなくても、そのお題目が、何かは、分かるようになってしまう
それはその時だ
目の前の国道に、止まることのなかった
車が、一台止まる
赤いランプを点灯しているのは、警察だとわかる
職質でもされるのかと
一瞬袈裟を、抑えながら考えたが
しかし、彼らは、老婆の前に立つと
「斎藤 登米さんですね」と、彼女に言ったが
老婆は、答えることなく
前に、歩き出す
「何かあったんですか」
いえ、警察は、そう言うと
「数日前に、捜索願が出ていまして」
と、写真を出して、彼女と顔を何回か見比べると
そのまま、無理やり車に乗せようとする
しかし、それに反抗するように
彼女は、道に戻ろうともがく
その手に私は、五十回以上お遍路を回ったものが
納める納札が
夜の闇に、車のライトが、薄暗く暗い黄金色に反射をしているのを一人見ていたのである
ノウサつ イタチ @zzed9
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