動きたくない懐中時計
仲仁へび(旧:離久)
第1話
その懐中時計は動きたくない。
壊れたままでいたい。
なぜなら、修理されたら、孫に渡されてしまうから。
誕生日プレゼントになってしまうから。
懐中時計は、ずっと同じ持ち主がいいと思っている。
なぜなら、新しい持ち主が大事にしてくれるか分からないから。
最近のわかもの、という存在は、簡単に物を壊すし、捨てる。
そう思っているから。
だから、ずっと壊れたままでいたいと思っている。
新しい持ち主なんていらないから、本当は持ち主のほうをどうにかしたいけど、そうすると今の持ち主が悲しむから。
だから、どんなにあちこちが痛くて、きしんで、今にも壊れそうでも。
修理されたくなかった。
このままでいいと思っている。
どんなに辛くても、最後まで、大好きな人の側にいたいと思っている。
動きたくない懐中時計 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます