第4話知ってる場所
意識が浮上した。
身体の痛みを感じてだ。ここは? あれからどうなったのか、動こうとして動けない事に気づいた。
そうだった。何か酷い目にあったんだ。急に起こった眼の前での出来事。あれよあれよと気づいたら、何か黒いモノがいた。
あれはなんだったんだろうか。思い出そうとすると、身体が悲鳴を上げてくる。全身から同じ様な声がする。ズキズキとギシギシと。
声はするのに、反応がない。一方通行の会話見たいだ。もしくは壁を隔てた物音か?
主張はしてくるが、聞きやしない。
あまりの騒がしさに、目を開けてキョロキョロと周りを確認する。視界はぼやけていた。磨りガラスの様だ。出来たのはそれだけだった。
他は何も動かない。おかしいな。そんな事を思いながら、ここが自分の部屋で寝ているのだと分かった。あの天井は寝室だ。
自分は部屋で寝ていてアレは現実なのか?
身体が上げる悲鳴と震える心の合唱が一際大きくなる。自分の部屋だという安心がより合わさり大合唱が聞こえる。だめだ。ダメだ。駄目だやめてくれ!
ココは安全なはずだ。そうだそのはずだ。そうだろう?
思はず目を瞑ろうとした時に見えたのは、多分、自分の額に伸ばされた手で、そして声を聞いた。
「大丈…まだ寝て……な…」
それは、
とても温かく良い香りで、
身体の内側から包まれた気がして、
意識が光に溶けていった。
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