第138話
「明日の朝食はお兄ちゃんが作ってよ」
一通り食事を終えたところで雛菜ことペローナ様からのご命令。
フロアが沸くほどの歓声をあげているから断りづらい空気だな。
でも俺はこんな豪華な料理作れないよ、それにこの世界の食材なんて詳しくないし……。
「それなら大丈夫、豪華な物はいらない。
食材も言ってくれれば調達できる、プラミシアが」
その発言を受けてプラミシアが凄い驚いて目を見開いてるけど、異世界からの移動ってそんなに簡単なのか?
ダミアナがざまぁといった表情で見ているけど、明日の朝までに調達ってのはできるのかな。
「大丈夫、プラミシアは有能。
お兄ちゃんが許しているなら、私はこれくらいで勘弁してあげる」
やっぱりバレてたんじゃないか。
けど許してくれるらしい、頑張れプラミシア。
プラミシアは首がちぎれんばかりに頷いて覚悟を決めたようだ。
ダミアナは優しいって言ってたんだけど、これって本当に優しいのか?
そして朝食作りは断れないことが決定したな。
「そしたら、お兄ちゃんお風呂入るよ」
さも当然のように混浴を要求されている、いやいや大人になってから一緒に入った事なんてないよ。
普通の提案のように言うから、一瞬騙されそうになったけども。
「お兄ちゃん、この世界では混浴は普通のこと」
2つに括った金髪をイジりながらの発言、これはダウト、嘘をつく時の癖が変わってないのは助かる。
この世界の嘘は見抜けないし、周囲も指摘できないだろうし。
ガシッと両脇を見知った天使が掴み持ち上げられる、なるほど何処にも逃げ場はないようだ。
「お兄ちゃん、早く来て」
浴場につながる脱衣所、年貢の納め時と手をワキワキと動かす天使に剥かれるか、自主的に脱ぐかの2つに1つらしい。
と言うかなんで天使は脱衣所にいるのか、背中を押して出て行ってもらおうとしたが、テコでも動かないと手押し相撲になった。
俺に手押し相撲を挑むとは、手を握った状態からでもマッサージができるということを教えてあげよう。
天使2人を腑抜けにしてから、仕方ないので服を脱ぎ、タオルを腰に巻いて浴場に足を運ぶ。
広い大浴場には雛菜しかいない、最近は露天風呂ばかり入っていたが、こういった室内の風呂も蒸気が充満していて悪くない。
湯気の奥には一糸まとわぬ妹の姿があった、腕を組んで仁王立ちしてらっしゃる。
なんだか怒ってる? 長年一緒に生活してきているから喜怒哀楽の変化くらいは分かる。
「なんでタオル巻いてるの」
なんだそんなことか、もちろん恥ずかしいからだよ妹よ。
容赦なくタオルは奪われた、触れられてないからたぶん神様の力でだろう、こんな事に使うなよ。
そして意味もなく大きくなってしまっている俺の股間を見て絶句する雛菜、とうとう肉親にまで改造されてしまったモノを見られてしまった。
「すごっ……、これってヘラにやられたの?」
「いや、アドリアネっていう天使にね……」
「グッジョブ、見知らぬ天使!」
褒められてアドリアネも満足だろうよ……。
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