第77話
ヘラ様の神託で王国はてんやわんやの大騒ぎらしい、これはかなり言葉を柔らかくした結果だが、とにかく教皇様が発言のせいであわや大罪人の如く扱われていて大変らしい。
神様的にはちょっとしたサプライズのつもりだったようだが、信者にしてはたまったものではない、実際に暗殺なんかも未遂で発生しており収拾がつかない状況だと。
人の命がかかっているのであれば、状況はどうあれ俺にできることはしていくつもりだ。
しかし唯一神として祀られているだけのことはあるな、神託という素人からするとあやふやなイベント一つで、こうも多くの人に影響を与えている。
アドリアネもさっきから機嫌を持ち直して、話を聞く姿勢になっている。
ツバキたちはまだ納得いってないようだが、俺がこの村を離れて生活する気はないから安心してほしい、そもそも中途半端な気持ちで店を構えたわけではないからだ。
その事を伝えると漸く納得したようだ、
「もう綾人殿の手料理がなくては、日常に張り合いがないからな。」
食事がメインなのね、なんか感動して損したわ、そもそも食事処ではないんだわ。
居抜きで使用しているのが元食堂だから、もう最近は料理しかしてないよ、俺マッサージ師なのに!
と言うか、俺がただのマッサージ師だってことは信者の人たちは知らないよね、大丈夫なのか?救世主なんて派手なふれこみしてるけど一般男性だよ?
「綾人さんだったら大丈夫ですよ、そんなに心配だったら練習してみますか、教祖ロールプレイなんかがオススメですよ。」
なんだその業の深そうなプレイは、絶対にやりたくないしストライクゾーン広すぎだろう。
俺ならなんとかなるとツバキたちも賛同してるけど、うーん一応ヘラ様に存在を認められているから良いのかな。
「寛大なるご判断、ありがとうございます。
つきましては一度王国に戻りまして、ご来訪の予定を決めまたご報告させて頂きます。」
流石に居心地が悪くなったのか、エルフは気絶しているビショップと魔法使いを剣士に担がせて、そそくさと帰る準備をする。
こちらもアドリアネがいつまた爆発するか分からないから良い判断だと思うが、蜻蛉返りは可哀想なので料理を重箱に詰めて手土産として渡すことにした。
「これ帰りの道すがらにでも食べてください、あまり日持ちしないので早めにお願いしますね。」
「これはこれは、何から何までかたじけないです。
重ね重ね、先の発言は全く総意ではありませんでしたので、教会の人間が全て同じような考えだとは思わないで下さいね。」
交渉道具のように男性が扱われている点のことか?
男は貴重だとされているから人質や貢物で譲渡されているのは、たぶん本当のことだろう、悪い印象を持たせないためか。
「面倒なことを起こして申し訳なかったね。
次に来る時は一人で満喫させてもらうとするかね。」
剣士は苦笑いしながは別れの握手を求めてくるので、こちらも苦笑いで応える、それにツバキたちは手を振って帰宅を促している。
村の外まで案内したところで魔法使いは目を覚ましたが、俺たちに囲まれているのを見て寝たふりをしていた、すごく分かりやすいぞ。
一先ず異世界に来てからの次のステップへと踏み出した感じがあるな、このまま順調に行けば良いけどなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます