第69話
side アドリアネ
まさか綾人さんのマッサージ力が成長するものとは、予想外でした。
これが増幅されたものなのか、それとも今まで抑圧されていた力が解放されたのかは分かりませんが、初日とは比べものにならない実力を持っています。
何故断言できるかと言うとマッサージを受けた私が、気がついたら朝を迎えていたからです…。
目が覚めると隣には綾人さん…、じゃなくてサリアが涎を垂らして寝ていました。
知ってる天井だ、見渡すと旅館の個室ですね、それで腕組みしたヘラ様に遠巻きで監視されているのは見なかった事にしたいです。
「なにやら、私とアズサが寝ている間に楽しいことをしていたようですね…。」
ダメだ言葉尻が完全に怒っています。
サリアの眉が震えているのは、もしかして狸寝入りしてます!?
これ作戦がバレてる可能性がありますね、だとしたら何処からバレたのでしょう?
「マリアに過去視して詳細を見せてもらっています、言い逃れできるとは思わないように。」
そうでした、『追憶』のマリアも居たんでしたっけ。
過去をそのまま映像で再現されてしまっては誤魔化せない、しかも『裁定』のアズサもいますので下手な嘘は首を絞めるだけですね。
これは久々に不味いかもしれませんね、ヘラ様を謀ったのは冗談抜きで、綾人さんの担当変更まであるかもしれない。
「今回は綾人さんの口添えもあったので、八百長に関しては不問としますが天使としての本分を忘れないように。
あと私に対する謀りについては、今後の活躍で信頼を取り戻しなさい。」
これはだいぶ減刑してもらえましたね、店の開店を成功させるためが理由だったから、事前に綾人さんに伝えていたのが功を奏しましたね。
私は許されましたが、この狸娘が許されたかは判りません。
「サリア、いつまで寝ているつもりですか。」
ヘラ様の声が一段階低くなりました、サリアは高い声で返事をして慌てて布団上で正座をします。
「貴方の場合は、秘密を握りアドリアネの作戦へ便乗したという事で、情状酌量の余地なしとします。
帰ったら相応の雑用をさせますので覚悟しとくように!」
順当な処罰でしょう、本来関わるべきでなかった事象に首を突っ込んだんですから。
雑用ってあれですか、小天使に混じって悪魔狩りでもさせられるのでしょう。
さて、昨日の祭りも終わりましたのでヘラ様たちにはさっさと帰ってもらいましょう。
なんで昼も過ぎたのに旅館でダラダラと食事しているのですか、大広間にホットプレートまで出してお好み焼き大会じゃないんですよ。
中央で綾人さんが特大の豚玉をひっくり返しています、お見事!じゃないんです!
ていうか何で自分達では焼かないんですか、綾人さんが焼いた方が美味しい?まぁそれは分かりますが。
まだ気温の高い日が続きますので、こんな密集して鉄板料理なんてしてたら汗もかきますし、和服で作業してたら着崩れするでしょう。
あっ!それが目的か、このスケベ集団め。
厨房からは竜たちが続々と食材を追加してきます、いつの間にか手懐けられているみたいです。
忙しいさなか綾人さんに時々小さなヘラでお好み焼きを食べさせてもらって、どっちかと言うと餌付けされてるみたいですね。
いやその役目は私のものでしょうに!アーンされる権利は私にあります!!
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