第67話
「みなさーん、抽選券は持ちましたかー!」
蕎麦を渡すときに一緒に出していた抽選券を持っていることが参加の条件らしい。
オーディエンス達はチケットを片手に掲げて盛り上がりは最高潮だ。
海の村の中央には広場があり、竜の3人は元々の巨竜の姿となり村人達を見下ろしている。
壇上というか、ツバキの首に跨って村全体を見渡して改めて集まった人数に驚いた、こんなに村人いたっけ?
「オメーら、準備はできたかー!?」
司会はモモが務めていて、客の整理はリツとレンだ。
会場にいる人のチケットの確認は、全員を対象にすると恐ろしい時間がかかると予想されたので、掲げての目視でチェックとなった。
音頭に合わせてジャンケンするのは俺だ、負けたものは座っていくスタイルで、参加賞も用意してあるから皆大人しく指示に従ってくれる。
俺がジャンケンに強いと言っても、今回はツバキにジャンケンでだす手を事前に決められている、なんでも勝ちすぎると再抽選が手間だということらしい。
「はじめっぞー!せーの、じゃんけん…。」
最初の1回で会場の半数以上が座る、2回目には30人を切って、3回で規定の人数丁度になった。
最後はサドンデスになったりするかと思ったが、こんなにスンナリ進むと違和感があるな。
まぁ祭りに水を差すのも何だしスルーしよう、立っている村人を眺めていると数人知っている天使も参加している事に気づく、アドリアネもいた。
計画していたのに進行を全部竜たちに丸投げしてるなと思ったら、私欲の塊だなー。
その隣にはサリアも立っていて、これだけの人数がいて天使が2人も当選しているのは誤魔化し切れないんじゃないか?
ヘラ様と厳しい天使であるアズサから物言いが入ると予想していたが、意外と抗議はあがらなかった、そうだ2人とも酔って店で寝てるんだったわ。
もしや、あの酒も作戦か?これはとんでもない悪事を働いているんじゃないか?土下座コンビよ、後でドヤされても知らないぞ。
side アドリアネ
難所は乗り越えました、あとは天使どものやっかみを無視して楽園へと行くまでです。
だいぶ酒も呑ませたので意識も混濁しているでしょう、あとは綾人さんに美味しい料理でも振る舞われたら忘れてくれるでしょうね。
今回の功労者は悔しいですがサリアでしょう、まさかヘラ様たちが店内に戻って来るまでに既に飲酒しているとは、なんでも騒ぎを鎮めたお礼に酒を振る舞わせるとは。
この世界のお酒は不味くないんですが度数が高くて酔いやすい、そして2人とも酒に弱い点もあってサリアが担いで帰って来たときには、思わず胸の中でガッツポーズをしてしまいましたよ。
参加者には綾人さんの蕎麦粉クッキーを配布して御開きとなります、まだ文句を言っているローズには私の分のクッキーもあげて黙らせます、作っている段階で沢山味見させてもらいましたし。
サリアの分のクッキーは有無を言わさずクラーグに奪われていました、涙目で可哀想ですが諦めなさい。
さて店に戻って酔っぱらいどもを旅館に預けたら、いよいよ綾人さん直々の接客タイムです!
色々とドタバタしましたがあと一踏ん張り、店内のセッティングのためサリアや竜を使い倒します。
実はツバキ、ボタン、キキョウ、モモも今回の作戦に関してはすでに知っていて、我慢強い村人の選出をしたのも彼女たちです。
その分、天使たちが帰った後に接客体験を別途用意しているので彼女たちの口は堅いですよ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます