第29話
私服に着替え裏の居住スペースでのんびりしていたら、アドリアネが呼びにきた。
仕事場に戻ると、さっき帰ったはずのツバキが居る。
話を聞けば、モモと呼ばれているあの暴れていた竜に会ってほしいとのこと。
ただ会うだけではなく、聞き出してほしい情報があるから尋問してくれと。
「尋問!?
そんな経験ないし、何より女性を苦しめるのは本意じゃない。
使命とも逸れていないか?」
使命を知っているはずのアドリアネを向くと、片手で御された。
「もちろん乱暴な手段は用いません。
綾人さんが女性に嫌なことをされたくないのも分かっております。
直接手を下さなくても、吐かせることはできるのです。」
なるほど、方法は既に考えられているみたいだ。
「なので、綾人さんには今から対象の前でストリップショーを行ってもらいます。」
前言訂正、女性だけではなく俺も嫌なことはしたくないのだが。
アドリアネの表情は至極真面目で、今更嫌ですとも言い出せないが。
ツバキは勿論ストリップなんて言葉知らないから不安そうだが、俺も不安だ。
露骨なハニートラップに簡単に引っかかるものか?
sideアドリアネ
こうも簡単に全部吐くとは。
もう少し綾人さんを脱がしたかった私の期待は、儚く散りました。
堪え性のない爬虫類ですね、ツバキが結界を張っているから触れないのに、境界に張り付いてガン見しています。
言わなくてもツバキもガン見してますし、私は録画もしていますけどね。
にしても上着一枚脱いだだけで決着とは、尋問し甲斐のない。
醜く続きをねだる様は、まさに薬物中毒者のようです。
コイツそういえば直接綾人さんに愛撫されていたな。
もしかして余韻だけで軽く絶頂しているのか!?
恐ろしい。
まだ私は性的なサービスはしてもらった事がないが、今後リクエストする時には細心の注意を払わねば。
好奇心に負けそう!絶対におねだりしそうだ、そしてヘラ様に怒られるまでがワンセット。
「聞きたい内容は全て揃いましたか?」
目を覆う指が開いて、まったく隠していないのがバレバレなツバキへ問います。
「おぉぉ…、そうじゃな、とりあえずは聞けたの。」
その言葉で綾人さんは直ぐに上着を羽織ります、馬鹿めもう少しアドリブで延ばせんのか。
しかし綾人さんの柔肌が、衆目に晒される時間が縮んだのは幸い。
視界を遮るよう翼を広げて、アホ竜の間に入る。
分かりやすい程に落ち込んでいる、全然同情は湧かないけど。
「しっかし村に攻め込む作戦まで立てていたとはの、知らなんだ。
昔から後先のことを考えない妹たちであったが、身内のことながら恥ずかしい。」
妹たちからの謀反を企てられているとは、なんとも言えない状況ですね。
村に店を構えた私たちも、無関係とは言えなくなってしまいました。
他の村を取りまとめているツバキの妹たちとは面識がありませんが、綾人さんの為にも潰れてもらうしかないですね。
「天使の力を使うわけにはいかないですが、ここは綾人さんに一肌脱いでもらいましょう。」
一肌って言葉に食いつき過ぎだろう、目が見開いているぞ。
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