第10話
side モモ
いやぁ偶には無理して遠出してみるもんだ。
結界が弱まっていたのは前から知っていたが、ウチ程度の干渉でも侵入できるならチョロいもんだ。
なんでも噂によれば村の狩人が男を捕まえたらしい、この村には過ぎたもんだ。
どうせ、アネさんに献上するつもりだと踏んで待ち伏せしてたらドンピシャ。
最初は説得してやったが、驚いたことにウチに盾突きやがる。
面倒だから叩きのめしてやったけど、アネさんところの住人に手をあげるのは不味かったかもしれない。
すると男がコイツらを庇いやがる、プルプル震えながらだが驚いた。
男が女を庇うなんて、ウチはこれまで見たことも聞いたこともない。
なかなか見どころのあるヤツかもしれないが、それも今日までよ。
ウチが女の怖さを骨身に教えてやるからね。
月明かりに照らされて、徐々に男の顔が浮かんでくる。
息を呑むほどの美形、こいつは上物ってレベルじゃない。
ウチがこれまで生きてきた中でも1番と言ってもいい、なにより見綺麗だし線も細い。
蝶よ花よと育てられてりゃ醜く肥えていくものだ、今まで奪って喰ってきたヤツらは大体がそうだった。
「ちょっとお姉さん。
俺なら付き合いますんで、あんまり虐めないであげてよ。」
そう言ってウチの手を、細っこい綺麗な手で引き寄せる。
初心な童貞かと思ったが、案外こなれているな。
男娼なのかもしれない。
初物かと期待していたが、男娼なら男娼なりの楽しみ方ってもんがある。
いけねぇ、涎が上も下も止まらないぜ。
「こっちへおいでよ。
明るいところは嫌いなんだ。」
昂らせてくれるじゃないか、ウチは明るい野外でも趣あると思うが誘ってくれるんじゃ仕方ない。
手を引かれるままに裏路地へと進んでいく、雑魚どもの片付けの途中だが放っといても構わないな。
路地へとしけ込むと、急に壁へと押しつけられた。
首をグイッと絡め取られ、口づけしちまうくらいの距離だ。
こういうのは初めてだが、意外と悪くないな。
「何事も順番が大事だよね。」
そう言って唇を重ねる、これもまた初めての経験だ。
男の方から誘ってきて、口付けまで求められるなんて想像もできなかった。
これは夢なのか?ウチはまるで処女に戻ったみたいに呆然としてしまう。
「俺なりの前戯、受け取ってくれる?」
コクコクと壊れたみたいに頷くしかない、この後どんな凄いことが起きるのか楽しみでしょうがない。
指を絡めた手が、妖しく蠢いて…。
そこからの記憶がない。
side A
拍子抜けするくらい、あっさり落ちてくれた。
口ぶりから沢山の男を慰み者にしてきたようだけど、意外と呆気ないな。
やっぱりこの世界の女性は、男性に迫られるのに慣れてない。
オラオラ系や、おねだり系なんかに全く耐性がないのだ。
ペースを持ってけば、後は天使も落ちたマッサージがある。
軽いハンドマッサージで、路地に水溜りができるほど激しくなってしまった。
「お゙ぉおォおんっお゙ぉおォおんっお゙ぉおォ…。」
白目を剥いてビクビクしている姿は可哀想だけど、まぁ罰として受け入れて欲しい。
普通に、暴行と強姦未遂の現行犯だし。
「終わったよー。」
気を遣わせないために、わざと軽く声をかける。
路地裏には教育上とても悪いものが転がっているので、さっさとこの場を離れよう。
彼女たちの回復を待ってから、偉い方の待つと言われている館へと歩いて行く。
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