第2話

 朝6時起床、朝ご飯とお弁当を作り6時半に夫を起こす。

 夫が起きたらすぐに朝食を出し、自分も他の用事をしながらパンとハムと野菜、紅茶を急いでかきこむ。

 

 本当はもうちょっと早く起きたかったのだが、急に寒くなってきたからか、太陽が出るのが遅くなったせいなのか、少しばかり寝坊をしてしまった。おかげで今朝はせわしない。


 朝食を食べ終わったら4歳の息子を起こす。仕事に行く時に保育園に預けるのだ。


 一足早く家を出る夫にお弁当を渡したら、子どもの準備と自分の支度。テレビではいつもの朝と同じくいつものドラマが始まった。ほとんど耳で聞いているだけ、朝のテレビ番組は時計代わりなのだ。


 8時、火の始末と戸締まりを確認したら、前に子供用の座席が付いたママチャリに子供を乗せて私も出発。自転車で20分ほどのところにある保育園に子供を預けたら駅まで戻り、電車に乗って出勤する。


 幸いにも始発駅なので、運が良ければ座ることができる。今日は運がよかった。

 座席に座り、目的の駅まで20分。目をつぶって短い休憩時間。貴重な20分だ。


 駅に着いたら職場は目の前、急いで駆け込み仕事の準備。

 とある会社の総務部が私の職場。

 出産と育休で3年休んだが、嘱託しょくたく社員として元の会社に復職できたのが2年前、それから今日までずっと今の生活を続けている。


 午前中の仕事が終わったらお昼休みに保育園の動画配信サービスで我が子の様子を確認する。今はこういうのがあるからいいよね。

 特にぐずることもなく、今日のお弁当をおいしそうに食べている姿を認めてホッとする。

 自分もお弁当を食べて昼休みにちょっと休憩。同僚たちと昨夜のドラマの話などをした。


 午後も仕事。私は時短で4時までなので残り3時間。今日は特にトラブルもなく、無事に終業時間を迎えられそうだ。トラブったら、時短なだけに帰るの後ろめたくなるのよねえ。今日は何事もなくてよかった。


 仕事を片付けたら急いで駅に向かい、まだラッシュには少し早い電車でゆっくり座れる。スマホをチェックする。よかった、保育園からも何も連絡がないままだ。今日は本当に何もかもがすんなり進んでいていい日だ。


 最寄り駅に到着。自転車に乗ってお迎え。

 4歳の息子だが、ここに通って2年になるから慣れたものだ。先生にご挨拶をしてすんなりと自転車に乗ってくれた。


 息子を連れてスーパーへ。できるだけ週末などに買いだめをしてはいるのだが、やっぱり日々の買い物が必要になることもある。今日は卵が特売なのだ。


 時間とお金、どっちが大事なのかという問題になるが、私はあまりこの手の特売の日にそれだけを買いに行くということはしていない。ほんの数十円のために使う時間が惜しい。今日は晩ご飯がオムライスの予定だったのに、卵が足りなくなってしまったのだ。ついでに牛乳も欲しかったので寄ることにした。

 

 子供をカートの前に乗せ、さっと店内を回って必要な物をかごに入れていく。

 おっと、やっぱりお菓子売り場で少し停滞。もう、しょうがないなと箱入りのお菓子を一つだけ買うことにした。おやつは家にあるのだが、今日はまあ、買い物に付き合ってくれたお礼ってことで。

 私も甘いなあ。でも、お気に入りのお菓子を手ににっこりされると、ついつい甘くなってしまうのは仕方ない。


 帰宅。買い物を冷蔵庫に入れ、保育園から持って帰った物を洗濯かごに入れたり、あれやこれやと片付けていく。息子の手洗いうがいももちろん。


 すぐにご飯の支度に取り掛かる。鶏肉と玉ねぎを切り、冷蔵庫から昨日炊いてあったご飯を取り出し、ケチャップ味でチキンライスに仕上げる。後は食べる時に卵で巻くだけ。そうそう、チキンライスは取っておいて明日のお弁当にもなります。


 息子と晩ご飯を食べ終わる頃、夫が帰宅。食事前にお風呂に入れてもらう。その間ももちろん休憩なんてない。なんででしょうね、何もしてないのに時間がどんどん消えていくのは。

 うちは洗濯はドラム式で乾燥までおまかせ。取り出した洗濯物はほとんどをハンガーかけで、たたむ手間も節約してるのに。

 

 お風呂から出た息子を着替えさせたら、夫に相手をしてもらっておいて夫の夕食。食べ終わった頃には息子の寝かしつけの時間になる。

 食器は食べ終わったら夫が食洗機に入れて回してくれる。本当に文明には感謝だ。


 今日は何もかもスムーズに行った一日だった。息子も大人しく眠ってくれた。 


 私が一日忙しく立ち働いている間、この子もがんばって一日を過ごしているのだ。

 メキメキと成長している音が聞こえるような一日、どれほど濃密な一日を過ごしているのだろう、どれほどのことを感じてくれているのだろう。


 本当に子どもの寝顔は天使か妖精だ。

 この寝顔を見ていると、一日の疲れが吹き飛んでいくようだ。

 実際には吹き飛ばず、蓄積している自覚はあるが、それでやはり、知らず知らずに自分も笑顔になってしまうのを感じていた。

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