Ⅱ

 

 俺は直ぐに着替えて、座椅子に座った。食卓の上に朝食が並べられ、生卵があった。

「お客さん! ビールは入りますでしょうか?」と、問われたので、

「いや、別にいいよ」と答えた。何だか朝から飲む気になれなかった。どうしたのかな? 俺らしくないな。と感じた。それにしても用意が早いな。ひょっとして、客は俺一人かな? まぁそんなことはどうでもいい。早速朝食を食べ始めた。やっぱり卵かけご飯が美味しかった。

 食事も食べ終わり、タバコを一服吸っていると、女将さんが、

「朝食はお済みでしょうか?」と言って上がってきた。

「はい、片付けをお願いします」俺は灰皿にタバコを揉み消しながら言った。女将さんは、手際よく食卓の上を片付け、布団を押し入れに片付けて、食器を持って、階下に降りていった。俺は今度は窓に腰かけ、またタバコを吸った。

 ――さ~てと、どうするかな――

 等と考えながら、心に決めた。よし兎に角広島駅まで行こう。と考え、身支度をして、黒い鞄を持って、帳場へと向かった。

 俺は支払いを済ませると、民宿から出た。

「お客さん! 又来てくださいね」

 と、送り出してくれた。俺は又来ることがあるかな~と考えながら、広島駅に向かった。広島駅に着くと、コンコースにある、売店で西日本新聞を一部買って、ベンチに座り新聞の端か端まで読んでみたが、やはり大濠公園の事故なんて一行も出ていなかった。俺はホッとしたが、何だか狐に化かされたような感じがした。よしっとばかり腰を上げると、新幹線の重責の切符を買い、改札口を抜けて、新幹線のホームのベンチに座って、電車が来るのを待った。人出は少なかった。

 ホームに電車が滑り込んできた。俺は自由席の車両に乗り込み、新大阪駅を目指した。“帰ろう”と心に決めて、座席に座った。もう十時半を過ぎている。座っていると、車内販売のワゴン車がやって来た。俺はそれを止めて、

「すみません、缶ビール一つと柿の種を一つください」って言って千円札を渡した。お姉さんは、俺に品物をお釣りと一緒に俺に渡した。

「有り難うございました」と言ってニッコリ笑って先に進んでいった。俺はもらったビールと柿の種を台の上に起き、貰ったお釣りを何となくズボンの右ポケットに突っ込んだ。すると何か解らないが、右手にさわる紙切れがあった。そっと取り出してみて俺は目を大きく開いて仰天した。何と出てきた紙切れを良く見ると、何とが出てきた。

 

            (了)

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ダーク・ゾーン❗ 淡雪 隆 @AWAYUKI-TAKASHI

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