Ⅱ
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それは、高校一年の春、入学の時のクラス分けで、あのクラスメートに出会ってからだ。何とも不思議な少女だった。あの少女確か『
「おい! 何をしているんだ」
俺が声をかけると、クルリと身体を翻えし、まるで蛇のような目をして俺を睨んだ。俺と目と目があった瞬間、俺は心臓を掴まれたような錯覚に堕ちた。そして、俺を見た小笠原は、
「……何だ! 何か言いたいことがあるのか? 確かお前は安倍川だな」
「そうだ、安倍川だ! 此処で何をしている」
「何をしているだと! お前には関係の無いことだ」
そう言うと、理科室から出てきた。スタスタと教室から立ち去る姿には、何か威厳のような雰囲気を醸し出していた。姿勢よく歩くその姿格好は、普通の女子高生と変わりはしないのに。しかし、何故か俺は彼女に引かれていった。引力でもあるかのように吸い込まれるように、その仕草の一つ一つが記憶の中に残るようになった。何をしていたのだろう?……。明日、以外と彼女と多少仲のよい、俺と同じ中学校を卒業して顔馴染みの
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