第192話 鷹爪ストーンダンジョン攻略④
ストーンダンジョン攻略2日目。
昨日、マナミサンの暴走などいろいろあったが、無事4階層までの間引きは終わり、今日はいよいよ今まで攻略が滞っていた5階層のボスに挑戦する。
「真奈美。
「はい……」
「にゃー……」
この二人は昨日の暴走の罰として、夕食のおかず抜きになっていた。
その反動か、朝食はとてもよく食べたので体調はばっちりだろう。
向こうでは、昨日の騒動の原因の一翼を担った長崎隊員も正座させられてお説教中だ。
で、今日の攻略だが、昨日のやらかしを考えると、当事者の3人は出撃禁止になるだろう。
だが、これまで通常兵器や火炎放射が効果なく、討伐に至っていないボスが相手なのだ。
真奈美や美剣の能力が必要となる可能性が高いだろう。
「よーし、とりあえず、ボスには自衛隊であたる。あんちゃん、輸送を頼む。」
隊長ズ(自衛隊)の作戦はこうだ。
これまでは、実戦部隊と補給部隊に分けなくてはいけなかったことや、ボス部屋入り口の狭い扉を隊員が通り抜けるのに時間がかかっていたが、今回は軽トラの輸送能力のおかげで一斉に全兵力をぶつけることが出来る。
おまけに、この基地にある全兵器も一緒に輸送できるので、これまでできなかった規模の飽和攻撃が可能になるのだ。
なので、オレやマナミサン、美剣は基本待機だ。
長崎隊員も、剣ではなく火炎放射器を持っての参戦となるらしい。
とい、いうことでボス部屋入り口の前に到着。
空間拡張された軽トラの荷台では、すでにこの基地の自衛隊全隊員がスタンバイしている。
あ、そういえば。
聞いてくれ。
実は、自衛隊の隊員の中には、これまでの戦闘で負傷して戦線離脱を余儀なくされていた兵士もそれなりにいた。
だが、全員治療が終わり、今日は戦線復帰しているのだ。
え?
誰が治療したのかって?
フフフ……
うん、我が家の車庫ダンジョンの4階層以降を攻略していったとき、結構レベルが上がったんだよね。
ミノタウロスさんやコカトリスさんはもちろんの事、地下6階層の海フロアの海産物たちも魔物扱いだったようで、経験値が豊富だったのだ。
結果、全員のレベルが6も上がり、美剣は21、オレとマナミサンは19にまで上がった。
そして。
そして!
オレはついに!
『君主』の回復呪文の『
この呪文さえあれば、石化だろうが麻痺だろうが、部位欠損だろうが。
命さえ残って入れば、即座に全回復が可能なのである!
と、いうことで昨夜は『
まだオレの魔法使用回数は多くはないものの、自衛隊の備品である魔力ポーションをがぶ飲みして全員治した。
ポーションの飲み過ぎのせいで、昨夜は5回もトイレにおきることになってしまったが、それは些末なことだ。
「全隊員傾聴! 今日は天王山だ! いよいよ、あのにっくきボスを打ち倒す日がやってきた! 俺たちだけでは届かなかったが、今日は心強い助っ人たちがいる! もし怪我をしても死ななきゃ治してもらえるんだ! 思い切って行くぞ!」
「「「「「「YAーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!」」」」」
おお、隊長ズの片割れさんの鼓舞!
それって、オレのことだよね!
ああ、とうとうオレも、人から頼られ認められる存在に……!
「先輩? わたしはとっくに先輩のことを頼ってますし認めてますよ?」
「にゃー、ご主人は頼れるご主人様にゃよ?」
おお! 真奈美! 美剣!
「あんちゃん? そろそろ突入したいんだが? まあ、涙拭けや……」
おっといけない。
感極まって目から汗がでてしまったぜ……
「よし、隊長さん! 真奈美、美剣! 行きますよ!」
「「「応(はい)(はいにゃ)!!!」」」
こうして、とうとうオレたちはこれまで一回も討伐されることのなかった、5階層のボスへと戦いを挑むのだった。
◇ ◇ ◇ ◇
「全体展開! 火炎放射隊! 前へー!」
「「「YAーーーーー!!」」」
戦いが始まった。
5階層のボスは、どっかで見たような映画の中の
4階までの雑魚が『グレイ』の色違いで占められていたから、ここも大型化したグレイなんじゃないかと思っていたら微妙に違っていた。
こっちは、あの、頭が長くて涎をたらしていて、口が大きいタイプのエイリアン様だ。
なるほど、これは強そうだ。
オレはあの映画は見てはいないが、とても強そうなことだけは分かる。
そんな5階層のボスに、一斉火炎放射が行われる!
「ファイヤー!」
小隊長さんの号令の元、一斉に火を吐く火炎放射器。
電気やガソリン系統の動力が使用できないダンジョン内。
だが、ガソリンは燃料としては使用することが出来る。
ダンジョン内で酸欠となり味方の命も危ないのではとの議論もあったが、その後の各国の検証により、ダンジョン内での酸欠はないという検証結果が得られ、ダンジョン内では銃器に次ぐ威力となった兵器の一斉飽和攻撃がエイリアンを包み込む!
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