第185話 ダンジョン内のいろんな場所。
朝食を摂って、海フロアから一つ上がって5階層。
草むらと灌木のコカトリスエリアに向かう。
このフロアには、湿原と山があるという話だった。
スルーしていこうとも思ったのだが、ちょっと見学という体で寄ってみることにした。
標識に従い、やってきました『芝山地湿原』。
湿原の上には、木材で作られた遊歩道が伸びており、これまた軽トラで走るのに最適な幅ときた。
その上を走っていると、案の定、巨大なザリガニが現れる。
そして、ザリガニしかいない。
あれ? たしか湿地帯って生物の宝庫とか言われている所だよな?
たしか、日本最大の釧路ダンジョンでは、近くの釧路湿原の生態系が反映されていて実に多種多様な魔物が出ると聞いたことがあるのだが……。
で、ザリガニのドロップ品はやっぱりザリガニのお肉だった。
大きいからロブスターのように見えなくもないのだが。
ザリガニを食すると言えば、某アニメの頭のおかしい変な名前の魔法使いの姉妹か、ネコといったところか。
だが、うちのネコである
聞いてみると、「エビの方がいいにゃ」とのことだったので、この湿原地帯は様子見程度で終了する。
いや、ほんとは猫にはエビも良くないんだけどな。
お次はこのフロアの山、『畑代岳』に向かう。
敵の魔物は竹。
鬱蒼とした竹林の中で、竹が襲ってくるんだ。
竹版のトレントといったところだろうか。
丸舘市の畑代岳には竹林はなかったと思ったのだが……。
で、ドロップはタケノコ。
このドロップを出したいがために魔物が竹になったのかなと思われる。
ほかにも、多種多様な山菜がドロップする。
竹の魔物からわらびが落ちるのは違和感しかなかったが。
竹の魔物はわらわらと出てくるし、竹はマナミサンの刀と美剣の爪とは相性が良くスパスパ切れてくれるので大量に山菜をゲットした。
タラの芽の天麩羅が楽しみだ。
さらに上がって4階層へ。
森林とミノタウロスのフロアだ。
まずは標識に従い『麦代川』へ。
うん、川魚だね。
川辺に着くと、ひつじさんが『おとり用鮎』を人数分くれた。
だけど、釣り竿を持っていないからお礼を言って返却する。
海フロアでもらった投網を川に放り投げ、一気にかかったやたらとでかい鮎やヤマメの魔物と戦闘。
川で投網は密漁になるのかな?
まあ、ダメなのだったらひつじさんがなにか教えてくれるだろう。
でもね、マグロとかの時も思ったんだけどね、お魚に角とか長いキバは必要ないと思うんだ。
いくら魔物だからと言ってなんにでも角とか生やさなくてもいいんだからね。
ちょうどいい時間だったので、今日のお昼は焼き魚だ。
さすがに川魚は切り身じゃなくて普通サイズでドロップしてくれた。
薪や串になる木の枝は豊富に落ちていたので簡単だった。
ただ、火おこしをマナミサンの火属性エンチャントでお願いしたら、斬撃も加えられて薪割りも同時に出来たのには驚いた。
鮎の塩焼きを堪能してから『ホウオウ
実際の『ホウオウ
舗装に使ったアスファルトはどこから出したのかな?
いや、アスファルトだけじゃない。
山頂にはしっかりと少年たち向けの宿泊体験施設みたいなのも建てられていた。
ほんと、建材とかどうしたんだろう。
でも、なつかしいなー。
オレも小学生や中学生の時、宿泊訓練とか学校代表研修会とかでここに泊まったなー。
学校行事でリアルキャンプファイヤーを体験できるなんて田舎ならではだよね。
いまでも山の中のフィールドワークとかやっているのかな?
小人数のグループに分かれてコンパスと地図を片手にチェックポイントを探してゴールするみたいなことをやったっけな。
今にして思えばダンジョン探索とか、フィールド探索に通じるものがあるような気がする。だから楽しかったのかな。
マナミサンも似たような思い出があったのか、宿泊体験の施設を見て遠い目をしていたよ。
おっと、思い出に浸りまくっている場合ではないな。
なんといってもここはダンジョンの中なのだから。
ここの魔物はオーソドックスな山の獣たち。
クマとかシカとかタヌキとかリスとかウサギとか。
クマ肉やジビエはあんまりお好みじゃないのでちょっと様子を見て切り上げる。
「さて、これでだいたい行ける所は一回りかな」
「そうですね。全体像が分かりましたね。」
「にゃー、食材豊富でうれしいのにゃ」
結果、ダンジョン内に3泊ほどしたのちに地上に戻ってきた。
すぐさまホームセンターとスーパーに走り、バーベキューのコンロと大量の木炭を購入し、おあずけをくらっていたミノタウロス牛肉ステーキやら焼き鳥各種アラカルトの炭火焼を食べながらビールを堪能し、鹿爪市ストーンダンジョンの攻略に向けて英気を養うのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます