第159話 4回目の売却
「それでは、魔石やドロップ品の代金として、8割の税金を引いて923万と6千円のお渡しになります」
900万越えだと!
いや、結構な額になるのは薄々わかっていたのだが、まさかここまでとは。
以前からレベル稼ぎで倒していた1階層のボス、『大狼』の魔石が1個5万円で、税金を引いて1万円の買取価格。それが283個ほど。
そして、美夏さんが開けてくれた宝箱から出た『トリュフ』を掲げてポップする『大オーク』の魔石がなんと8万円で、税を差っ引いても1万6千円。で、それが235個。
それに。これまでぼちぼち倒していたやつとか、陽介君たちの案内の道中で倒した魔物の魔石やらドロップ品やらを足して、まさかの900万越えをたたき出してしまった。
ちなみに、大オークでのレベル上げでそれぞれレベルも上がり、オレとマナミサンは二つ上がってレベル10、美剣は一つ上がって12になっている。
それにしても。
たしか前回の売却では200万越えで喜んでいた記憶があるのだが、その4倍以上とは。
半分をパーティー共有予算にして460万円!
これで成長したダンジョンの税金は余裕で無事払えるな。そろそろ確定申告だからちょうどいい。
で、税金の210万を払っても残り250万もある。
すると、買取カウンターの奥からセンター長が出てきた。
「たくさん稼ぎましたね! これなら、熊岱市のダンジョンも余裕で買えるんじゃないですか!? ぜひ! 是非! お買い求めください!」
たしか熊岱市のダンジョンは評価額160万円。それを買いとって、さらに税金を納めたとしても確かにぎりぎり範囲内だ。
だが、今のオレ達はすでに無償で間引きに潜る依頼を受けている。
ただで入れるダンジョンにわざわざ金を払おうとは思わないのだが。
「いや、すでに自前のダンジョンがありますし、距離も離れたところの管理もするとなると大変です。なので、今のところは購入は考えていないのですが。」
「だったら、ダンジョンの管理をする専属の探索者パーティーでも雇ってみてはいかがですか? それに合わせて観光資源化するとか、一般の探索者も日割りの入場料で受け入れるとか! そうすれば日銭も入りますし、将来の資産としての不動産になりますよ?」
むむ、そうか、そういう考え方もあるのか。
どうも熊岱市のダンジョンはあのごうつくばりの社長の印象が強いのか、探索しての魔石で稼ぐというイメージが強かったのでそこまで頭が回らなかったな。
ふむ、そうか。専属の探索者パーティーを雇うという手もあるのか……。
このとき、オレの頭の中には陽介君たち3人の顔が浮かんでいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます