第157話 『理力盾』の検証
「『
スキルの発動と共に、オレの持つ機動隊払い下げのジュラルミン製の盾から淡い光のエフェクトが広がる。
その範囲は直径3mほどだろうか。
物理的な盾の面積をはるかに超えた防御の光がオレの目の前に広がった。
「ちょっと効果を確認してみたいな。真奈美、軽く刀で切りかかってみてくれ」
「はい! 先輩が
「おおーい、怖いんだが!?」
マナミサンの冗談はともかくとして、通常の刀の攻撃を『理力盾』は見事防御することに成功した。
「じゃあ、今度は魔法を頼む」
「了解です! 嫉妬の炎を巻き散らしますね!」
「もうそういうのはいいから!」
単体攻撃の『ファイア』もみごと防ぐことに成功し、この理力部分の盾は物理、魔法双方に防御効果を発揮することが検証された。
「よし、次は、盾の裏側からの攻撃が弾かれるかどうかだな。
「わかったにゃ」
もし、後ろからの味方の攻撃が理力盾をすり抜けたりできるのなら、安全に味方をかばったまま遠距離攻撃で相手を完封できる。
マナミサンがトリュフを掲げ、大オーク達がリポップしてくる。
「いくのにゃ!」
オレの理力盾の後ろに立った美剣が、大オークに向けてフォークを投擲する!
ガシャーン!
「へ?」
『理力盾』は、砕け散った!
オレは慌てて、再度『理力盾』を展開し、大オークの攻撃を防ぐ。
どうやら、この盾の理力部分は後方からの攻撃にとてももろいようだ。
その後、全員で無事に敵を殲滅する。
「そうか、盾の後ろから狙撃アタックの目論見はかなわなかったか」
「にゃー、これなら、こっちの攻撃を通すけいとらの『結界』のほうが戦いやすいニャね」
「……美剣ちゃん! それは言っては……!」
「はいはい……。どーせオレは防御も軽トラに負けるし回復も軽トラが持ってるし……。劣化コピーしかない微妙な使えないやつですよーだ」
「ほらー。すねちゃったじゃないですか!」
「ご主人! ごめんにゃ! ご主人は最高ニャよ! ほら、そこはかとないところとかにゃ!」
「そうですよ! 先輩! 先輩はそこはかとなく素敵じゃないですか!」
「どっかで聞いた誉め言葉をありがとう……」
と、まあオレが落ち込んでばかりいても場の雰囲気が悪くなるだけなので早々に復活し、未来志向の思考回路に戻る。
「この『理力盾』だと、両手持ちの機動隊盾だと微妙だな。片手持ちのバックラーに変更すれば、片手が自由に使えて武器も持てるな」
「じゃあ、明日せんたーにお買い物にいくにゃよ!」
「そうしましょう! 先輩!」
こうして、オレの機嫌を伺う一人と一匹のやさしさに包まれ? 明日の予定が決定したのであった。
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