第155話 肉祭り

「あ、なんとかイケそうっすよ~」


 宝箱に取り付いていた美夏さんが声を上げた。


 え? その宝箱は、我らが美剣みけでも手を焼くほどの難解な罠だったはずだが……?


 考えてみれば、美剣は『忍者』だ。『忍者』は確かに罠の解除はできるがそれ専門というわけではない。実際、某線画ダンジョンのゲームなんかではよく罠解除を失敗していた。


 と、いうことは? 罠開け専門の『盗賊』(本人は斥候と言っているが)ならば、難易度の高い罠でも解除可能という事なのだろうか。



「開いたっすよ~! ふう、かなり手ごわい罠っすね~! あやうく引っかかるところだったっすよ!」


 おいおい、怖いことを言うんじゃない。


 それでもすごいな。まだレベルが2とはいえ、やっぱり専門職というものの持つアビリティーってすごいものだ。



「……で、これって何すかねえ。真っ黒でなんかフカフカしてるんすけど?」


「あ、それってトリュフですかね」



 トリュフ? 世界三大珍味とかいう? 


「トリュフって、あのお高い奴だろう? こんなにデカいのか?」


 たしかトリュフってテニスボールよりも少し小さいくらいじゃなかったっけ? バスケットボールくらいあるのだが?!



「にゃー、食べ物なのかにゃ?」


 ああ、食べ物は食べ物なのだが。


 宝箱の脇ではトリュフを持った美夏さんと、それを見るマナミサンで憶測の会話が弾んでいる。まさか同い年女子の初の会話のきっかけが謎トリュフとは。


 というか、確かにトリュフは食べ物なのだが、ここにある宝箱から出た以上は食べてはいけないはずだ。といっても毒とかそういう意味ではない。

 食べる以外の使い道があるという事だ。


「ちょっとそれを貸してもらっていいかな? で、思うところがあるので隣の部屋に移動しましょうか。」


 オレはみんなを促し、隣の玄室、大きなオークがボスとして出た通称ボス部屋に移動した。


「オレの予想が正しければ……。美剣、真奈美、戦闘準備だ。」


「「はい(にゃ)」」



 オレは大きなトリュフを掲げた!



「やっぱりだ!」



 すると、案の定というか、取り巻きのオークどもを引き連れた大オーク、2階層のボスがリポップしてきた!


「美剣、雑魚を頼む。たくさんオーク肉ゲットしよう。真奈美、炎のエンチャントで焼き豚だ!」


「「はい(にゃ)!!」」


 オレが『挑発』でタゲを取って囮となり、その隙に魔物の集団は瞬殺された。


 そのあとには、美剣が倒したオーク達のレアドロップのオーク肉がたくさん。



「宝箱を開けてもらったお礼と、お近づきの印にこのお肉を持ち帰って下さい」


「「「ほえー」」」



 おっと、御園さんの第一声がしまらないセリフになってしまったな。




 

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