第152話 『ナインガーデン』の実力
1階の最奥、ボスの大狼の出る部屋にオレ達は足を踏み入れた。
「ここではこんなこともできるんだよ。真奈美、アレを掲げてくれ」
「はいっ」
マナミサンが『大きなホネ』を掲げ、ボスの大狼がポップする。
「
美剣はそう叫ぶや否や、スキル『
雑魚のコボルド軍団もマナミサンが瞬殺した。
「と、まあ、こんな感じにボスの無限ポップが出来るから、陽介君たちのレベルアップも捗るんじゃないかな?」
「ちょ、ちょっと、次は僕たちに戦わせてもらっていいですか?」
「ああ、もちろん」
オレの目くばせを受けたマナミサンがホネを掲げる。
またすぐに、大狼がポップし、オレ達が雑魚を片付けると同時に陽介君たちは慌てて大狼に矢を射かけていく。
弓矢という武器の特性上、連射は難しい。まあ、スキルとかにもよるのだろうが、通常は1本づつ矢をつがえて発射するという動作が必要になる。
先ほどまでは敵の数が多く、連射できないが故の物量に押されて苦戦するという場面があった。
なので、この雑魚を間引いた1体だけのボス相手ならば余裕で倒せるだろう。
そう思っていたのだが。
「躱された!」
なんと、大狼はその持ち味である機動力を発揮し、陽介君たちが放った3本の矢を全て避けてしまったのだ。
矢を避けた大狼は物凄い速度で陽介君たちにタゲを定めて迫り来る。
かたや、陽介君たちは第2射の矢をまだつがえてすらいない!
「まずい! 『
オレは強引に大狼のタゲを取り、大狼の矛先を自分に向ける!
「『
マナミサンがスキルを使用し、大狼を光の粒子に変える。
単体相手の『剣舞』は一つの目標に連撃が入るのでとんでもなくオーバーキルだな。
「あ……ありがとうございます……。やっぱり、僕たちはまだまだですね」
驚きと恐怖からすぐに立ち直った陽介君がお礼を述べてくる。
どうやら、このボス部屋無限ポップでのレベル上げはまだ陽介君たちには早かったみたいだ。
陽介君たちの実力はなんとなくわかった。レベル3ということでそれなりの強さだと思い込んでいたのだが、これはちょっと……
「……不思議に思っているんじゃないですか? こんなに弱っちい僕たちが、熊岱市のダンジョンの2階のボス部屋を突破したことを」
感づかれてしまったか。
確かに、熊岱市のあの社長が保有していたダンジョンは、1階層のボスといい、2階層のボスと言い、出現できる最大数の雑魚敵が出る仕様だったはずだ。
連射のきかない弓矢であの数を退けるのには難しいはずだ。
なのに、そこを突破していた陽介君たちにはそれなりの強さがあるからだと勝手に思っていたのだが。
「実は僕たち、まだレベル2なんです」
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