第150話 ご案内①
パーティー名についてはとりあえず保留にしたオレ達は、陽介君たちのパーティー、『ナインガーデン』を我が家の車庫ダンジョンへの案内を始める。
陽介君たちは3人全員が弓装備。見事に後衛しかいないパーティー構成になっている。
それにはわけがあって、この3人は弓道部出身であり、そのため適正武器もおのずと弓になったのだとか。
魔物に接近されたらどうしていたのだとか、これまでどんな戦いをしてきたのか興味があるが、その辺の立ち入ったことは聞かないのが探索者同士のマナーであるらしく、その質問は胸に秘めておいている。
「あ、ここの玄室は大きな声や音をだすと灰色狼がポップしますから気をつけてくださいね。」
最初の玄室についての注意事項を告げる。
そして、この玄室には、車庫の床材のコンクリートがダンジョンに巻き込まれた『
「これが、僕たちを助けてくれた軽トラですね」
「ああ。ダンジョン内でも動くことはもう知っていると思うけど、すまないけど詳しいことは内緒という事でよろしく」
「はい、もちろんです。探索者同士のマナーですからね。」
「ああ。まあ、といってもこの軽トラは【異質化】しただけあっていろんな能力もあるから、なにか探索で行き詰った時なんかは相談してくれてもいいからね」
「はい! その時はよろしくお願いします!」
とりあえず、最初の玄室の案内はこれで終わったかな……おっと、そういえばこれがあったな。
そこにあるのはプランターに植えられたプチトマト。
先日、3階層の農作物取り放題との等価交換? で一旦は失われたので、新たにホームセンターで購入してきた2代目である。
「まだ実をつけていないけど、このプチトマトはとてもおいしくて
「いや、ただってわけにはいきませんよ。そうですね、あとでこの実の効果をためさせてもらえますか? 今はまだ無理ですけど、懐に余裕が出来たら一個いくらで買い取らせてもらいたいです。」
「そうかい? じゃあ、まずは実が実ってからだな。あとで改めて話し合おう」
なるほど、単にダンジョンに潜っていいと契約は交わしたものの、こうして実際に一緒に潜ってみると、細かい所でのいろんな取り決めが必要になってくるのがわかるな。
他人行儀にはなりたくない気持ちもあるが、しょせん他人同士である。
何が原因でトラブルになるかはわからないので、何事にもできうる限り事前に同意を取っておくのに越したことはないだろう。
さて、奥に向かおうか。
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