第137話 あらたな査定額
「「じゃ、俺たちは調査に同行してくるからな!! そのあとでオハナシしようぜ!!」」
「あ、自分も行ってきます。おわったら、自分にもすこし時間をくださいね」
隊長ズと駐在さんが、県の調査員と共に我が家のダンジョンの中に入っていく。
「あ、わたしはルンちゃんと一緒にここに残りますから!」
この人は……たしか、駐在所の女警さんで緒方巡査長さんだったか。
それに、あの助手席にいる娘はルンというのか。
顔立ちもそうだが、名前まで日本人離れしているな。やっぱり外国人なのかな?
マナミサンがコーヒーを淹れて緒方さんとルンさんにカップを手渡している。ルンと名乗る娘は、なにやら助手席から離れられないようなので、大掛かりなもてなしはできないため、全国チェーンのお菓子屋さんから買ってきた焼き菓子をお盆に入れて車内に差し出す。
「「ありがとうございます!」」
緒方さんとルンさんがハモッてお礼を言う。どこぞの隊長ズみたいだな。
「はああ~、どうせ中に行っても2時間何もすることないですし、ここでおやつを頂いている方が建設的な時間ですよね~」
「え? 中ではなにもすることないんですか?」
緒方さんが何やら気になることを口走ったので、おもわず聞き返してしまう。
「あ! えっと、いや、警戒は、しますけど、ね。ゲフンゲフン」
おっと、なにやら部外秘の事を口走ってしまったご様子。
まあいい。そこで突っ込んでやらないのが優しさというものだろう。
「警戒って具体的にどんなことをするんですか?」
おっと、そんな慈悲を持たないマナミサンが死角からの追撃に入ったぞ!
「えっと、ほら、あれですよ。あれ、そうなんですよ。おほほほほ」
うーん、緒方さん、全然ごまかせていなせんよ……
さすがのマナミサンも引き際を心得たのか、それ以上の追撃はやめてあげたようだ。
目の前で守秘義務違反をそそのかして降格や転属になられても後味が悪いしな。
そうして無難な世間話などをしていると、約1時間半ほど経過した所で調査隊の面々が戻ってきた。
「今回、武田さんの地下迷宮は『成長』されたようです。正式な文書は後日送付しますが、今回の成長によって、およそ混在型で深度10層、【脅威度】は2段階上がってDランク、【資産期待値】も2段階上がってDランクといったところですかね。あとは、【成長可能性】は1段階下がってEランクです。」
ん? 一部聞きなれない言葉が?
「『混在型』ってなんのことですか?」
「ええ。これまでは『迷宮型』で2階層でしたが、3階層以降は『フィールド型』が『混在』しているようなんですよ。だから『混在型』です。
なるほど。それはわかった。
もう一つ、気になることが。
「で、売却査定額はどれくらいになりそうですか?」
「そうですね。階層の成長度合いも大きく、資産期待値もDと高めになりましたので、420万円といったところでしょうか?」
420万円!
と、いう事は……
税金(年間)が210万円かーー!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます