第133話 君主の悲劇
なんと、軽トラの荷台がとんでもなく広くなっていた。
荷台から降り、外側から見ると普通の軽トラの大きさであるし、幌の覆いを開けていても見た目上は普通に見える。
荷台の中に乗って初めてその広さがわかるというもの。
のちの検証で、運転席の
「これなら、軍隊だって運べますね」
「ガンダ〇だって運べるぞ?」
白い軽トラがますますホワイ〇ベースと化してきたな。
思えば、元々軽トラの荷台には、容量が無限と思われる『収納』の機能があった。収納内部の不思議空間の能力の一部が荷台の上にまで及んだという事だろうか?
他にも変化しているところはないかいろいろと調べた結果、他に二つの相違点があることが分かった。
まず一つ目は、これまでの『防御結界』は外側からの攻撃を防ぎ、その分内側から外部への攻撃も通さなかったのだが、今度は内側からの攻撃が有効になっていた。もちろん、外部からの攻撃はこれまで通り防いでくれる。
「これって、無敵だよな」
「はい。
ますますホワイトベー〇になってるじゃねえか!
これで、大カエルからのレアドロップの、爆発する『金鞠』でも投げたらまさにメガ粒子砲並みだ。割り箸投擲は速射砲かな? 左舷の弾幕をきちんと張らなくては。
そして、もう一つ。
思うところがあり、自分でわざと手の甲に切り傷を付け、荷台に乗り込んでみたところ、
「傷が治っていくニャ」
「治癒の効果ですかね?」
そうだ。なんと、軽トラの荷台や運転席、助手席には乗車している者の傷を治す「ヒーリング」効果もあることが判明したのだ。
これではまるで、某線画ダンジョンゲームの『
正直、無敵になったこの軽トラでヒーリングの出番があるかどうかはわからないのだが、広さを自在に変えれる荷台と、このヒーリング効果を使えば大規模な負傷者を一気に運びながら回復出来てしまうという事だな。
「今度は病院船か。ホワ〇トベースもサイド7出発時は民間の負傷者が多く乗り込んでいたんだよな」
「なんの話か分からないのニャ」
「美剣ちゃん、今度一緒に見ましょうね」
それにしても。
それにしてもだ。
オレにせっかく『
軽トラが無敵移動砲台と化し、ダメージを負う危険がほぼなくなり。
さらに乗車した者に対するヒーリング効果。
これって、オレの存在自体が「死にスキル」になっちゃってないかーー!?
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