第132話 軽トラの変化

 ダンジョン内での突然の地震の後、【異質化】と思われる現象がオレ達の身体に起きたその日は、各々自分の能力を確認した後は時間も遅くなってきていたこともあり、そのまま家に戻り休息とした。


 


 そして次の日、最初の玄室内。




「オレ達の身体が【異質化】したってことは、あの地震の時の、ダンジョンの何かしらの動きに巻き込まれたからだと思うんだ」


「はい。それが妥当ですね。」


 あの後調べてみたが、日本中のどの地点でもあれほどの大きな揺れの地震が起きていたという記録地震情報はなかった。

 つまり、あの揺れはこのダンジョンだけで起こったものだったのだろう。



「にゃー、最初の時ダンジョン発生時と同じ感覚だったからそれでまちがいにゃいと思うのニャ」


「そうだ。だけど、よく考えてみると、ちょっと違うのかもしれないって気がしてきた。」


「どういうことニャ?」


「思い出してくれ。美剣が最初に人型になったのは、そもそも【異質化】したのか、それとも、軽トラの【異質化】に人型になったのかという疑問が出てくる。」


「なるほどです。と、いうことは……」


「ああ、オレ達も、オレ達が異質化したんじゃなくて、軽トラの再異質化にんじゃないかということだ。」


「たしかに、地震の時は軽トラのすぐそばにいましたから、そう考えることも自然ですね」


「にゃー? ということは、今回もけいとらがなんかパワーアップしたという事かニャ」


「ああ。もしそうなら、オレ達は『軽トラの【異質化】』に巻き込まれた、ってことの方が理解はしやすいと思うんだ。」


「人間を含む生物が【異質化】したって例はいまだ世界中の何処にもありませんからね。『軽トラ』というが、異質化によって周囲の生物に【異質化】のようなというほうが確かにしっくりきます。」


「そうなんだよ」


「だったら、けいとらがパワーあっぷしていにゃか確かめるのにゃ!」



 オレは軽トラの運転席に乗りこみ、キーを回してエンジンをかける。


 フロントガラスには、HUDヘッドアップディスプレイのカーナビ画面。いまのところ、見た目上は地震前とかわったところはない。



「「あ”ーーーーーーーっ」」




 荷台に乗り込んだマナミサンと美剣の叫び声が聞こえる!



「どうした!」


 荷台の側面開きの覆いを跳ね上げ、そこに現れた光景は……!



「広いな!」


「そうなのにゃ!」


「この広さなら、十分ここに住めますよ?」



 元の広さの数十倍はあろうかという、広くなった荷台スペースが広がっていたのであった。

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