第118話 感謝状と許可証

 陽介君たちの救出から数日後。


 警察からの書留封筒が届いた。



「警察から何て言ってきました? もしかして、軽トラの事とか美剣みけちゃんの事ですか?」


「オレもそうかと思って身構えたんだが……。人命救助の感謝状らしい」


「まあ!」


「しかも、オレ、真奈美のほかに美剣のもあるぞ!」


「あら! よかったですね! 美剣ちゃん!」


「にゃー、警察から感謝状をもらう猫なんて美剣くらいのもんにゃー!」


「あ、他にもあるぞ。なになに、そちらの軽トラを特殊車両として許可します……だと?」


 同封されていたのは国土交通省からの特殊車両許可証。その内容は、荷台に人を乗せて(8人まで)の走行可と言ったものだった。


 添えられた文面を見ると、どうやらこの許可証さえ持っていれば、車検も通るし8ナンバーへの変更も必要ないらしい。たしかに軽トラで8ナンバーを付けていれば目立ってしまうのでありがたい。

 

 さらにもう一枚、手書きの手紙が添えられていた。そこには、本来であれば警察庁の庁舎に招いて感謝状の授与式を行いたかったのだが、目立つのを避けるためと軽トラと美剣の秘密が市井にバレないように内々で処理させてもらったこと、あとは今後も同様のダンジョン遭難事案等があった際にはぜひとも協力をお願いしたいことなどがつづられている。


 で、差出人は……!


「警察庁長官からだと……!」


 なんでこんな偉い人から!


 それだけ軽トラと美剣のインパクトは強いという事か。


 当初はこれらの秘密が露見したら、軽トラは押収され、美剣も検査やら調査やらで最悪連れ去られるか、良くて近場の大学病院に出頭命令とか出されるとかの大ごとになると思っていた。


 だが、実際は大ごとは大ごとでも思ったのとは違う方向に行ってしまった。


 まあ、最悪の事態に比べればいい結果になっただろう。なんせ、軽トラはここにあるし、美剣もここにいる。自由なのだ。

 課された制約は何もない。せいぜい、任意で捜索に協力してくれと言う依頼のみだ。





「またなんか届きましたよ?」


 また封書だ。


 見ると、こちらは自衛隊からの物。中身は同じく感謝状と、有事の協力依頼。及び国内のダンジョン攻略への協力を仰ぎたいというものであった。

 差出人の名義は「陸上総隊司令官」。自衛隊の組織はよくわからないが、おそらくは日本国全体でのトップクラスなのだろう。


 ダンジョンの協力依頼については、気が向いたら連絡が欲しいとだけ書かれており、こちらも強制ではないようである。




 さらに翌日、探索者支援センターから捜索に協力した謝礼金を渡したいというメール連絡が入り、さっそく晴田市の探索者支援センターに車を走らせたのであった。



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