第109話 捜索⑤
地下2階の探索中。
順調に軽トラカーナビのマップを埋めていき、およそこのフロアも3分の2ほどは探索したと思われるが、陽介君たちの姿はいまだ発見出来ていない。
やはり3階にまで突入したのだろうか?
機動隊の隊長さんがダンジョン持ち主のおっさんから聴取した情報によると、陽介君たちは全員レベルは3。得意武器は講習所で出会った時と同じで3人とも弓矢のようだ。
各人の職業についてはおっさんはよくわかっていないようだったので不明である。
うーむ、武器種から考えて、無理に3階までの突入をして、途中で矢が尽きてしまったのかもしれないな。たぶんストレージみたいな大規模収納の魔道具は持っていないだろうし、矢を買うにも金はかかる。それほど大量の矢を準備していたとは考えにくい。
そんなことを考えながらも、次の玄室に突入する。この玄室の扉は手前に引っ張るタイプだったので、隊長ズが降りて開けてくれた。
―なにものかにであった!―
「またトンボモドキだな」
「多いのにゃ」
「これは……ボス部屋でしょうか?」
その玄室に現れたトンボモドキは最大出現数と思われる9匹×6グループ。
このダンジョンは、ボス部屋に強い個体が出るのではなく、そのフロアの雑魚が最大数で出るのが特徴らしい。
ちょっと数が多すぎるな。
どうする? うかつに軽トラから降りれば大量のトンボモドキの連発ブレスに焼かれてしまう。
安全策で軽トラ虫アタックを何度も繰り返そうと思ったその時、
「「おれたちに任せとけ!!」」
隊長ズがそう言うと、これまで使う事のなかった武器――銃を取り出し、見事なまでの腕前で次々とトンボモドキを打ち落としていく。
機動隊の隊長は、38口径のニューナンブという奴だろうか。実は、警察にはニューナンブだけではなく様々な拳銃が導入されているらしいから、よく見ないとわからんけど。
自衛隊の隊長は、9㎜機関銃だろうか? いや、連発はしていないから短銃か。
銃の口径からして、ダンジョンの魔物相手には殺傷能力が不足してるんじゃとも思ったが、銃を持つ人のレベルがその攻撃力に上乗せされるという記事を思い出し納得した。
それにしても、魔物一体を確実に銃弾1発で仕留めているのがすごい。5発撃ったあとの弾込めの速度もとても早く、いかにも訓練されてますという動きだ。
「「空飛ぶ奴には、飛び道具は特効なんだよ!!」」
そうか、確か、某ゲームでそんな設定があったな。
という事は、陽介君たちの弓矢もこのトンボモドキには特効で相性がよかったわけだな。
ふむ、それならば。弓矢の特効で2階層を突破して、3階で何らかの事情で足踏みしている公算が強まったな。
そんなことを考えているうちに、隊長ズはすべての魔物を打ち落としてしまっていた。
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