第106話 捜索②

「すみませーん! 隊長さんたち、そこの扉を開けてもらえませんか?」


「「よっしゃ! まかせろ!!」」


 え? なんかいきなり協力的じゃね?


 バックミラーを見ると、マナミサンと美剣みけがオレに向かってサムズアップしている。そうか、どうやら仲良くなったようだな。

 まあ、どちらも中身はともかく見た目は美少女だ。特に美剣なんかネコミミという最終兵器をお持ちだからな。そんな容姿で世間話なんぞしたらほだされるのも無理はない。

 

 隊長ズの二人が軽トラの荷台から降り、玄室の扉を引っ張って開ける。

 すると、案の定、玄室の中には魔物の群れが。


「「にいちゃん! こいつら、倒しちゃっていいのかい?」」


 おお、隊長ズが殺る気でいらっしゃる。


 まあ、確かに自衛隊と機動隊の隊長だ。それなりに戦えはするのだろうし、俺たちなんかよりはるかに強いのだろう。だが、


「いえ、戦っている時間も惜しいので走り抜けます。荷台に戻って下さい」


「「了解だ!!」」


 なんだろう、こちらに向ける二人の笑顔がまぶしい。なんか、二人とも歯が光ってるし。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


 ゲシンゲシン、ガリガリ、ゴリガリ。


 次の扉は押して開けるタイプだったので、問題なく軽トラで押し開けた。


 ゲシンゲシン、ガリガリ、ゴリガリ。


 その次の扉も、押して開けるタイプで――


 ゲシンゲシン、ガリガリ、ゴリガリ。


 で、次の扉が今度は引いて開けるタイプだった。


 ゲシンゲシン、ガリガリ、ゴリガリ。


 今の軽トラの周囲には、玄室3部屋分。都合、9体×4グループ×3部屋分の100体を超えるコボルドが取り巻き、執拗に軽トラに攻撃を加えていた。

 

 『結界防御』のこともマナミサンが隊長ズに説明してくれていたようで、荷台の人たちも余裕の表情を浮かべている。

 

 なのだが、


「「おいおい、にいちゃん、どうするんだい? 殺るか?」」


 隊長ズが心配してくる。たしかに、誰かが降りて扉を引っ張って開けなきゃこの先には進めない。

 ただし、降りれば100を超えるコボルドの攻撃を受けてしまう。

 隊長ズは何にも動揺していないから大丈夫そうだが……


 それでも、そろそろオレたちの本気を見せてもいいかもしれない。



「じゃあ、一緒に殲滅しましょう。美剣みけ、真奈美、準備はいいな?」


「「はい(にゃ)!」」


「隊長さんたちも、お願いします」


「「おお、任せとけ!!」」


「よし、行くぞ!」


「「「おお(はい)(にゃ)!!」」」


「にいちゃん! 盾借りるぜ!」


 へ?


 しまった、オレの得物、機動隊払い下げの盾を荷台に置いたままだった!

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