第105話 捜索①

「ご主人! この人たちはなんなのにゃー!!!」


「「きみぃ! このネコミミはなんなのかね!!」」


 あああ、大騒ぎだ。


 混乱を収めなければならないが、説明する時間が惜しい。


「あ、わたしが荷台に行って説明してきますね。」


 おお、マナミサン。なんでこんな有能なのに普段はあんなポンコツに……え? 一番ポンコツのお前が言うな? はいはい、ポンコツでごめんなさいねっ……って。痛い痛い、マナミサン、つねるな。


 説明と収拾をマナミサンにゆだね、オレは現場の責任者からこれまでの捜索の状況を聞き、これまでに明らかになったこのダンジョン内のマップの写しを借り受ける。

 ダンジョン内でコピー機が使えないのを理解したうえで、トレーシングペーパーで数枚複写してるんだな。こういった人たちの知恵とか応用力ってすごいと思うの。


 状況は、一階層の約三分の一と思われる範囲が捜索済み。2階への階段は未発見。いまのところ、居場所を特定できる情報なしといったものだ。


 オレはいまだ探索の手が伸びていない方面に軽トラを走らせ、現場の人たちがいなくなったところで軽トラのカーナビ、HUDヘッドアップディスプレイを起動する。

 よし! さっきもらった断片的な地図が、オートマッピングの探索済みと同じように、まるでダウンロードでもされているように画面上に浮かび上がってくる!


 他のダンジョンでも、この軽トラの能力が発揮できるのかは未知数だったが大丈夫みたいだな。

 それにしても、考えても答えは出ないのはわかりきっているが、なんて不思議仕様車なんだろうか。

 この分では、今現在日本で最大級と言われる釧路ダンジョンとか、アメリカのフロリダダンジョンでも問題なく威力を発揮するだろう。


「「きみぃぃぃぃぃ! そのカーナビも異質化によるものなのかね!」」


 あー後ろにいる人たちの事を忘れてた。幌の中にいても軽トラ後部の窓から運転席の様子はのぞけるからな。

 おそらく、マナミサンから一通りの説明を受けた後は運転席を凝視していたんだろう。オレも、バックミラーを見ればわかったはずなのにな……。


 その後の説明をマナミサンがしてくれているのか、後ろは途端に静かになった。

 おそらくはマナミサンの説明を一字一句聞き逃さないように集中しているのだろう。


「どれどれ……カーナビの画面で見ると……、地下二階に向かう階段はこの辺が怪しいな。そこに行くには、玄室を4つか5つほど通り抜けなければならない感じだな。」


 うーん、玄室入ると高確率で魔物がいるからできれば入りたくはなかったのだがしょうがない。


 オレは玄室の扉を軽トラで押し開け……ることが出来なかった。どうやら、このダンジョンの扉は手前に引いて開けるタイプのようだ……。


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