第104話 すべてを詳らかに
【異質化】してダンジョン内でも走れる軽トラで捜索するから、単独行動させてほしい。
そう言ったオレを驚いた顔で見ている自衛隊の隊長。オレの言葉が聞こえたのか、会話を中断してこちらに身を乗り出している機動隊の隊長と建築会社の社長。
それらを尻目に、オレはこう言い放つ。
「詳しいお話はあとで。では、オレたちはダンジョンに向かいますが、いいですね?」
「「ま、待て! その話は本当か!」」
「本当ですよ。さっきも言いましたが時間が惜しいんです。本当かウソかは見てればわかると思いますので。」
なぜか頭が冷えてきたオレは、隊長さんたちに向かって強気で無礼な言葉を発している自分を客観的に見ながら、軽トラの運転席に乗り込んでいく。マナミサンも助手席へ。
軽トラを遠巻きに見ている隊長さんたちに目礼して、ダンジョンの入口に軽トラを進ませる。
あ、もしこれで入口が狭くて軽トラが入れないとかだったら、すんげえかっこ悪い奴だなこれ。
そんな懸念をいだきながらも入口への階段をガタンゴトンと降りたオレは、その入り口が軽トラが通れる幅だったことで安堵する。
で、最初の玄室に入ると、中で捜索の拠点を形成していた自衛隊と機動隊の隊員が目を剥いてこちらを見ている。まあ、当然だわな。
こちらに現場の責任者と思われる人が走り寄ってきた。
同じ説明を何回もするのは面倒だが致し方ない。まあ、軽トラがダンジョン内で動いている姿は皆が目にしている。納得してくれるのは早いだろう。
「「待ってくれ!!」」
現場の責任者さんに説明を始めたところで、大きな声が聞こえてくる。ここの最初の玄室、大声で魔物ポップしないよな……。
見ると、さっき地上のテントにいた自衛隊の隊長さんと、機動隊の隊長さんが目を血走らせて全力で走ってこちらに向かってくる。怖いんですけど。
「「俺たちも、同行させてくれ!!」」
なんでこの隊長さんたち、さっきから息がぴったりなんだろう……。
彼らの申し出は、まあ考えてみれば当然のことだ。いかに探索者であるとはいえ民間協力者に単独で捜索を任せるのはやはり無理があったのだろう。それに、ダンジョンの中で動く軽トラ、その詳細を調査して報告しなければならない立場の人たちだからな。
「さっきも言いましたが時間が惜しいんです。同行するなら、急いで軽トラの荷台に乗って下さい」
荷台には、
正直、軽トラの事はバレても、美剣の事は隠し通しておきたかった。だが、ことここに至っては致し方あるまい。
もはや、すべてをつまびらかに――――
「に”ゃあああああああああああああ!!!!」
「「ぎゃあああああああああああああ!!!!」
あ、やべ。
説明する前に顔をあわせてしまったか。
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