第80話 ウサギがわたしにくれたもの
その宝箱の中には……
「なんだこのご都合主義は……」
「タイヤだニャ」
「軽トラのと……同じサイズですね。」
なんと、軽トラのタイヤだった。
ダンジョンの魔物からタイヤがドロップするなんて聞いたことねえよ! 宝箱から出てくる大きさじゃねえだろ! なにか? これから先、このウサギは延々とタイヤを落とすのか! オレにタイヤ屋になれとでもいうのか!
「まあまあ、先輩。おそらくこれは
「そうにゃ。たぶん、ご主人が倒した奴からのレアドロップだと思うニャよ? だって、わたしはタイヤなんて想像もしてなかったからにゃ」
たしかに、オレは自分のミスでパンクさせたタイヤの事を気にしながら戦闘していたのでそういわれればそうなんだろうが……
なんだか納得できない気持ちのまま、ジャッキアップしてパンクしたタイヤを交換する。工具一式があって良かった。ちなみに軽トラのジャッキは運転席の座席の下にあるぞ!
ちなみにスペアタイヤも積まれていた。くっ……オレの心労はいったい……。
ご丁寧に、ドロップしたタイヤはこの前交換したばかりの冬タイヤと同じメーカーのタイヤだったのにはびっくりした。
「どうせだったらブリザッ〇が4本出て欲しかったな」
「オート〇ックスのタイヤは安いですからね」
「よくわからないのにゃ」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
未開のフロアの玄室の扉を開けていき、元の階に戻る階段を探す。
次の玄室では、また齧歯バニーがポップした。
ウサギとの戦いに慣れてきた美剣はウサギの首を刎ね、マナミサンは脳天への一撃を与え、床にたたきつけることでダメージを増幅してウサギを倒す。そしてオレは、盾の下部を打ち付け床と挟むことで前足などを切断して部位欠損ダメージのほか、首にもヒットして一撃死クリティカルのダメージを与えることに成功する。
「ふう、ウサギの対処には慣れてきたな。もはや軽トラで轢かなくても大丈夫そうだ。」
「まだパンクの事を気にしてるんですか? あれは事故ですから、先輩が気に病む必要はないですよ?」
「にゃー、こんなん出てきたニャよ?」
美剣が宝箱を開けて取り出したドロップアイテムは……缶切りだった。
「……なんなんだ? このウサギは何でも屋か何かなのかな?」
このままでは雑貨屋が開けてしまう。
「今年の干支と関係があるのかニャ?」
「いや、お正月も終わりましたし……缶切りやタイヤは干支とはなんの関係も……」
「ところで、このウサギの共通のレアドロップってなんなんだろうな?」
「えーと、今調べますね。んー、牙? 歯? らしいですね。
ちなみにこのウサギのドロップ品の牙は、性質がセラミックに似ている事から歯科医師会によって
「みんな、歯磨きはちゃんとしような」
「「はい(なのにゃ)」」
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