第78話 サバイバル

 美剣みけがテレポーターの罠解除に失敗し、軽トラに飛び乗ったオレたちは軽トラごとどこかに飛ばされた。


「ふう、飛ばされたのは仕方がないが、ばらけなくてよかったな」


「ごめんにゃ。美剣が失敗したニャ」


「そんなことないですよ。美剣ちゃんじゃなきゃ宝箱は開けられないんですから」


「そうだぞ美剣、頼りにしてるからな。お前がいないとオレたちはダメなんだから」


「にゃー、泣きそうにゃ」


「ところで美剣、罠は発動しても中身は手に入っただろ? なんだったんだ?」


「それがにゃ……見るも不快なものニャ」


「これは……骨ですね。大きいです」


「そうなのにゃ! よりによって犬野郎の大好物の骨とは! 罠といい、あの宝箱はこの美剣さまをバカにしてるとしか思えないのにゃ!」


「どうどう、落ち着け」


「美剣は馬じゃないニャよ?」


「まあ、骨のことは後で考えるとして、とりあえずここはどこだって話だな」





 テレポーターで飛ばされた先。


 壁や床の色がこれまでいたフロアとは明らかに異なっている。


「このダンジョンが全2層だという話を真に受けるなら、地下2階層という事になるのだが……」


「先輩。マッピング用の方眼紙が足りませんよ? 裏に書いては見ますが、縮尺とか狂うかもです。」


「まあ仕方がない。やれるだけやってみよう。幸い、軽トラも一緒だ。最悪数日戻れなくても、水とか食料とかは十分『収納』に入れてある。」


「ご主人、いつのまにそんなそにゃえ備えをしていたのにゃ?」


「『収納』が手に入るイコール、水と食料が必要になる事態のフラグだって思ってたからな。速攻で買いに行ったよ」


「あ、でも先輩。カップラーメンはいっぱいありますけどお湯ってどうします?」


「なん……だと……」


「にゃー、缶詰もあるけど缶切り必要なタイプばっかりにゃよ? 缶切りあるのかにゃ?」


「くっ……! 災害時用缶切りタイプじゃなく普通の缶詰プルトップでよかったのか……」


「あ、缶切りなしで開けられる動画見れますよ?」


「おお! スマホが使えるって便利だな! って、開けるのにスプーンが必要なのか!」


「スプーンどころか、箸もないですねぇ……」


 その後、ペットボトルの水を入れたカップ麺をマナミサンのファイアーでお湯にしようと試みてみたが、すべてが炭化してしまうという事態になりあきらめる。



「さあ、気を取り直して脱出の道を探そう!」


「ご主人……」


そんなところ天然ボケも、守ってあげたくなっちゃいます!」



 まあ、水は大量にあるんだ。何とかなるだろう(コラ)。

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