第72話 トランス
「えーと、つまりは、
「いや、そう単純じゃない。あくまでも軽トラのそばにあって発光している状態じゃないと猫に戻るぞ。」
「にゃー、美剣も
会話の内容は美剣のお買い物というほのぼのしたものだが、
これと軽トラがセットになれば、ダンジョン内でレベルを上げた探索者が地上でもその能力を発揮することが出来る。
この箱を積んだ軽トラの近くであれば地上で魔法も使えるし、銃弾も跳ね返すようなスーパー兵士が爆誕するのだ。
また、ダンジョンの攻略においても同様である。地上で使用している戦略兵器――あくまでもダンジョン内に持ち込める大きさには限られるが、それを使ってのダンジョン攻略が可能になる。
想定できるのは戦車や装甲車だろうか。軽トラと戦車が並走している姿は想像するとシュールではある。光学スコープなんかも使えるだろう。
なにやらとんでもないダンジョンのドロップ品。
これまで、どの国からも存在が報告されていない、全く新しい魔道具。
オレたちは、それを便宜上、
environment transformation
と名付けた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
「で、このトランスだが、軽トラの収納に封印しておこうと思う」
「それがいいと思います。なくしたら大変です。」
「美剣の……お買い物の夢はかなわないのにゃ」
美剣はかわいそうだが仕方がない。
軽トラで地上に出たとしても、駐車場まではいいが、美剣が軽トラから離れてお店の中に入れば猫に戻ってしまう。ドライブスルーならありかな?
そのような会話をしながら、美剣の検証で動かしていた軽トラを所定の
ふと、ダッシュボードが気になった。
「どうしたんですか?」
「いや、この空間、なんだか気になって」
そこは、カーラジオの収まるスペースの下側。例えば、カーナビとかCDコンポとかを装着したなら埋まるであろう隙間。
なんとなく、
男の子は、はまるような隙間や穴には同じような大きさのモノをはめてみたいと思う習性があるらしい(暴論)。
衝動的に、トランスをその隙間にはめてみる。すると――
「まぶしいにゃ!」
軽トラ全体が一瞬激しい光を放った。
見ると、ダッシュボードの隙間にはめた
「これは……融合しているのか?」
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