第71話 黒い箱
軽トラ自体にではなく、なにか軽トラの中にある『要素』が、その『現象』を引き起こしているのではないか。
Aという要素により、Bという現象が起きる。Bの中に、「エンジンがかかる」という現象を含めてみると、Aという要素は、軽トラの中にあるエンジン以外の何かということになる。
軽トラの中にある何か。
そう考えたとき、オレは、すっかり忘れていたあることを思い出した。
あれは確か、某ファストフード店で、仕事を辞めてきたというマナミサンとお話をしていたあの日のこと。
家に一人残した
その中に、使途も効果もなにもかもが分からないモノが一つあったのだ。
黒色で、箱ティッシュの半分くらいの大きさのモノ。
もしかしたら、ソレになにかあるのかもしれない。
マナミサンが我が家に転がり込んできて間もない頃、オレはその時美剣が戦ってドロップさせた品々を確認していた。
確か、軽トラの『収納』のスキルが明らかになった時だ。
オレは、その得体のしれないアイテムを『収納』にしまい込んでそのまま忘れていたのだ。
ソレを、収納の中から取り出してみる。
ソレは、あの日見た時のままに、表面にはよく見ると幾何学模様と樹形図が合わさったような複雑な模様が描かれ、ほのかに発光しているようにも見える、ツヤのある黒色で高さのない4角柱。
大きなポケットならばどうにか入れることのできるような大きさのモノ。
重さは大きさの割にはあるような感じだが、持った感覚としては重いと感じるほどでもない。
まずは、この物体を軽トラから遠ざけてみることに。
「エンジンが……止まった」
どうやら、軽トラのエンジンが動くという現象『B』の原因『A』は、この黒い箱であったらしい。
と、いう事は、軽トラの【異質化】による能力は、『防御結界』と『収納』のみであり、『走行』の能力の原因はこの黒い箱であるという事になる。ややこしい。
だが、軽トラのエンジンが止まると同時に、黒い箱の方にも異変が生じる。
幾何学模様の描線に沿って発光していた光が消えたのだった。
今度は、黒い箱を起点にスマホ等の電子機器動作状況を確認してみた。
軽トラの近くに箱を位置させ、箱が発光している状態にすると、その半径5mほどではスマホ等は動作する。
だが、箱を軽トラから離して発光が止まった状態になると、箱にどれほど近づけてもスマホ等はうんともすんとも言わなくなった。
「えーと、かなりややこしい状況だが、要するに
もう一つの検証、魔物狩りから戻ってきた美剣にこの箱を持たせ地上に出てもらうと、箱の発光が消えた状態では猫の姿に戻り、軽トラに箱を積んで箱を発光させたま外に出ると前回のように人の姿のままであった。
ややこしい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます